モリーゼ州は1970年にアブルッツォ州から分離して誕生したイタリアで最も新しい州で、東をアドリア海に面し、北はアブルッツォ、西はラツィオ、南はカンパーニアとプーリアに接する小さな州です。
州都はカンポバッソで、アペニン山脈に抱かれた美しい風景が特徴的です。この地域の気候は海岸部と内陸部で大きく異なり、海岸部は地中海性気候で温暖、内陸部は大陸性気候で季節や一日の中での気温変化が大きくなっています。
地形とテロワールの特色
モリーゼ州には2つの主要な生産地域があります。北部のAlto Molise(イセルニア県)は伝統的なブドウ栽培が行われ、DOCペントロ・ディ・イセルニアが生産されています。南部のBasso Molise(カンポバッソ県)は機械化が進み、DOCビフェルノのワインが量産されています。
モリーゼ州のワイン造りは古代から行われており、現在では隣接する州の文化が交わる独特な品種構成を持っています。
代表的な黒ブドウ品種
主要な白ブドウ品種
ティンティリアは特に注目すべき品種で、その名前はスペイン語で「赤」を意味する「ティント(tinto)」に由来し、深い赤色のワインが特徴です。一時期は生産量の多い他品種に押されて栽培面積が激減しましたが、現在は品質が再評価され、モリーゼ州のアイデンティティを象徴する品種として注目されています。
モリーゼ州には4つのDOC(統制原産地呼称)が認定されており、それぞれ異なる特徴を持っています。
DOCビフェルノ(Biferno DOC) - 1980年代誕生
DOCペントロ・ディ・イセルニア(Pentro di Isernia DOC) - 1980年代誕生
DOCモリーゼ(Molise DOC) - 2000年前後誕生
DOCティンティリア・デル・モリーゼ(Tintilia del Molise DOC) - 2011年認定
これらのDOCワインは、アリアニコ、グレコ、ファランギーナ、ティンティリア、モスカートなど多彩なブドウ品種を使用し、地域の気候や土壌による影響を受けた独自のワインを生み出しています。
モリーゼ州には伝統と革新を融合させた優秀なワイナリーが点在しており、それぞれが個性的なワインを生産しています。
テニメンティ・グリエコ(Tenimenti Grieco)
ディ・マーヨ・ノランテ(Di Majo Norante)
ヴィニカ(VI.NI.CA)
カンティーネ・サルヴァトーレ(Cantine Salvatore)
これらのワイナリーは手作業による丁寧なブドウ栽培を心掛け、土地や作物の価値を高めることを目指しています。特に標高300mの軽石が混ざる水はけの良い土壌で、地中海性気候を活かしたワイン造りが行われています。
サイゼリアで親しまれているイタリア料理の要素を取り入れながら、モリーゼ州ワインとの新しいペアリングの可能性を探ってみましょう。
ティンティリア・デル・モリーゼと辛口料理
モリーゼ州の代表的なティンティリアは、そのスパイシーな特性から意外にも東洋料理との相性が抜群です。タンドリーチキンや四川風麻婆豆腐、シシカバブなどのスパイスを効かせた料理と組み合わせると、ワインのペッパーやハーブの香りが料理の複雑さを引き立てます。
サイゼリアのペペロンチーノやアラビアータパスタのような唐辛子を使った料理にも、ティンティリアの野性味が良く合うでしょう。
ファランギーナと前菜・サラダ
モリーゼ州のファランギーナは、ビターな酸味とフレッシュな香りが特徴で、サイゼリアのミックスサラダやプロシュート、オリーブなどの前菜類と相性が良いと考えられます。青リンゴやパイナップルの濃厚なアロマは、シンプルな素材の味わいを引き立てます。
伝統的なモリーゼ料理とのペアリング
これらの郷土料理は、サイゼリアのメニューにはない本格的なイタリア地方料理の魅力を教えてくれます。モリーゼ州のワインは、こうした地元の食文化と密接に結びついて発展してきた歴史があります。