カポナータは、もともとパスタ料理として生まれた料理ではありません。
サイゼリヤでカポナータを食べて「この甘酸っぱさ、なんだろう?」と感じた方は多いのではないでしょうか。カポナータ(Caponata)とは、イタリア南部のシチリア島を発祥とする野菜の煮込み料理です。ナスを主役に、玉ねぎ・セロリ・トマト・オリーブ・ケッパーといった地中海の野菜をたっぷり使い、白ワインビネガーと砂糖で仕上げる「アグロドルチェ(甘酸っぱい)」な味つけが最大の特徴です。
そもそもカポナータのルーツには面白い歴史があります。起源をたどると8〜10世紀のアラブ支配時代にまでさかのぼり、砂糖(サトウキビ)とお酢を組み合わせた甘酸っぱい風味が持ち込まれたことが始まりです。料理名の由来はシイラという魚「カポーネ(Capone)」にあるという説が有力で、貴族が楽しんでいたシイラ料理を庶民が野菜で代用したことでカポナータが広まったとされています。
つまり、カポナータは「高級魚料理の庶民版」として生まれたということですね。
現在のカポナータはシチリア全土の家庭料理として定着しており、前菜・パンのお供・パスタソースとして幅広く活用されています。日本では主にサイゼリヤのサイドメニューや、一部のイタリア料理店でおなじみの存在ですが、家庭でパスタとして楽しむスタイルも人気が出てきています。
カポナータの起源・シチリアの歴史・ラタトゥイユとの違いを詳しく解説(シェフレピ)
カポナータパスタを自宅で本格的に作るなら、材料の選び方がまず重要です。基本の材料は、なす(2本)・玉ねぎ(1/2個)・セロリ(1本)・トマト缶(1/2缶)・グリーンオリーブ(8粒程度)・ケッパー(大さじ1)・白ワインビネガー(大さじ1〜2)・砂糖(小さじ1)・オリーブオイル・にんにく・塩・こしょう、そしてスパゲッティ(160g/2人分)です。
材料の中でも見落とされがちな「ケッパー」が、実は風味の要です。ケッパーは地中海沿岸に生育するケーパーの花のつぼみを塩漬けまたは酢漬けにしたもので、ピリッとした独特の酸味と旨みがカポナータ全体の複雑さを生み出します。スーパーの輸入食材コーナーや成城石井などで200円前後から手に入ります。
これは使えそうです。
なすは「長なす」より「中なす」を選ぶと1〜2cm角に切りやすく、均一に火が入ります。また、本格的な風味を追加したい場合はアンチョビ(フィレ1〜2枚)を加えると、うまみが格段に深まります。アンチョビは魚の塩気・旨みのかたまりで、ひと手間かけるだけで料理の奥行きがまるで違います。
パスタは太さ1.6〜1.8mmのスパゲッティが最適です。濃いめのソースに負けない程よいコシと存在感があり、カポナータの野菜との絡みもよくなります。冷製にする場合はカッペリーニ(0.9mm前後)を選ぶと夏らしい軽い仕上がりになります。
カポナータパスタで最も大切な工程は、ナスの下処理です。多くのレシピで「素揚げ」と書いてありますが、家庭では「揚げ焼き」が現実的でおすすめです。揚げ焼きとは、フライパンに底から約5mm〜1cmほどの油(大さじ3〜4程度)を入れ、ナスを数分ずつ両面を揚げるように焼く方法です。はがきの短辺(約10cm)くらいの高さの鍋に半分ほど油を注ぐイメージが素揚げですが、揚げ焼きなら油の量は1/4以下ですみます。
揚げ焼きのナスをカブトムシのような濃い茶色になるまでしっかり火を入れることがプロのコツです。「焦げた?」と不安になるくらい色をつけることで、ナスの余分な水分が飛び、コクと旨みが凝縮されます。色が薄いうちに煮込んでも、カポナータ特有のトロッとしたリッチな食感は出ません。揚げ焼きしたナスが主役、他の野菜はすべてナスを引き立てる脇役だと考えましょう。
基本の手順(2人分)
パスタを茹でる際の塩加減が原則です。お湯1リットルに対して塩10gが基本で、2リットルなら20gを加えます。薄味の塩水で茹でたパスタは、濃いめのカポナータソースと合わせると味が物足りなく感じます。
ユウキ食品によるカポナータのスパゲティの材料・手順(参考レシピ)
カポナータパスタは「野菜を大量に摂れる料理」というだけでなく、積極的に食べるべき健康上の理由があります。まず注目したいのがナスの紫色の正体、「ナスニン」というポリフェノールです。ナスニンはアントシアニン系の色素で、強い抗酸化作用を持ちます。動脈硬化予防・コレステロール値の低下・活性酸素の抑制といった働きが期待できる成分です。
ナスニンを効率よく摂るポイントは「皮ごと食べること」と「油と一緒に加熱すること」の2点です。カポナータはまさにこの条件を満たした料理で、皮付きのナスをオリーブオイルで揚げ焼きすることでナスニンの吸収率が高まります。
さらに、カポナータにはセロリ・トマト・パプリカなどのビタミンC豊富な野菜も多く含まれます。トマトのリコピンもオリーブオイルとの組み合わせで吸収率が上がるため、カポナータはまさに地中海式食生活の理想形です。酢(白ワインビネガー)が食後の血糖値上昇をゆるやかにするという効果も報告されています。
カポナータパスタ1人分(スパゲッティ80g+ソース分)のカロリーはおおよそ450〜550kcal程度で、クリーム系パスタの700〜800kcalと比べると比較的低カロリーです。野菜たっぷりで食物繊維も豊富なため、食べ応えの割に胃もたれしにくいのが特徴です。
ナスニンの抗酸化力・健康効果の詳しい解説(医療・栄養情報サイト)
カポナータソースは、一度たっぷり作っておくと3〜4日間冷蔵保存ができ、複数のアレンジに活用できます。これがカポナータの最大の魅力と言っても過言ではありません。
実は、カポナータは作りたてよりも翌日の方が格段においしくなります。野菜の水分と甘酸っぱいソースがじっくりなじんで、味に丸みと深みが生まれるためです。前日の夜に作り置きしておいて、翌朝パスタと合わせるだけで本格的な一皿が完成します。翌日が旬、ということですね。
カポナータを使ったおすすめアレンジ3選
冷製パスタにする場合は、ソースのビネガーをやや多めにして酸味を利かせると、冷やした状態でも味がぼやけません。また、バジルは加熱すると黒ずんで香りが飛ぶため、必ず仕上げ(盛りつけ直前)に加えることが原則です。
サイゼリヤのカポナータに近い仕上がりにしたい場合は、セロリとオリーブをクタクタになるまで長めに煮込み、ケッパーの塩気を生かして全体の塩分を控えめにするのがコツです。市販品では明治屋の「いつでも新鮮 カポナータ」や、ユウキ食品のカポナータの素を使うと手軽に同じ風味を再現できます。
カポナータの作り置きと冷製パスタへのアレンジ方法(天然生活WEB)