サイゼリヤでリングイーネを何度も頼んでいるのに、スパゲッティと同じ茹で方をしていると、本来の美味しさを7割も損しています。
リングイーネという名前は、イタリア語で「小さな舌(lingua)」を意味します。この名前の通り、断面が猫の舌のように楕円形になっているのが最大の特徴です。短径が約1mm、長径が約3mmという楕円断面は、一見するとスパゲッティを軽く押しつぶしたような形をしています。
スパゲッティの断面が完全な円形(直径約1.6〜1.7mm)なのに対し、リングイーネはこの独特の楕円形をしています。これは単なる見た目の違いではありません。
平たい断面を持つリングイーネは、ソースを麺の表面全体で受け止める面積がスパゲッティより広くなります。これがソースとの絡みの良さにつながっているのです。
また、フェットチーネ(幅約7mm・長方形断面)と比べると、リングイーネ(幅約3mm)は細く、濃厚なソースを使いながらも食べやすいバランスが保たれています。つまり、濃厚さと食べやすさを両立しているのがリングイーネということです。
原産地はイタリア北西部のリグーリア州で、州都のジェノバはバジルの産地としても有名です。この地域の伝統的なパスタとしてリングイーネは根付いており、地元では「トレネッテ(Trenette)」という方言名でも呼ばれています。
| 種類 | 断面形状 | 幅(目安) | 合うソース例 |
|---|---|---|---|
| リングイーネ | 楕円形 | 約3mm | ジェノベーゼ・魚介系・クリーム系 |
| スパゲッティ | 円形 | 約1.6〜1.7mm | トマト系・オイル系・カルボナーラ |
| フェットチーネ | 長方形 | 約7mm | クリーム系・ボロネーゼ |
リングイーネが基本です。形を知ると、選ぶのが楽しくなります。
リグーリア州のパスタについての詳しい解説はこちらのサイトが参考になります。
イタリアのパスタ旅20州 vol.5「リグーリア州」 – コトコトパスタ
サイゼリヤが「ペストジェノベーゼ」などのメニューでリングイーネを採用しているのは、偶然ではありません。サイゼリヤは、パスタに対して驚くほど真剣なこだわりを持っています。
サイゼリヤのパスタは、パスタ発祥の地とも呼ばれる南イタリア・ナポリ近郊のグラニャーノという町の1795年創業の老舗メーカーから輸入されています。このメーカーは、デュラム小麦のセモリナ粉100%を使い、ゆっくりと低温で乾燥させる伝統製法を今も守り続けています。
低温乾燥の製法が重要です。
高温で素早く乾燥させる量産型の製法とは異なり、低温でじっくり乾燥させることで、小麦本来の香りと甘みがパスタの中に閉じ込められます。茹でたときの独特のもちっとした食感と小麦の風味は、この製法があってこそです。
現在、サイゼリヤは国内だけで年間1万トン以上のパスタを使用しています。1万トンというのは、500gのパスタ袋が約2,000万袋に相当する量です。これだけの量を供給するために、サイゼリヤは同品質のパスタをイタリア国内の複数のメーカーから厳選して調達する体制を整えています。
サイゼリヤで食べるリングイーネのジェノベーゼは、この高品質パスタにバジルベースのペストソースを合わせた料理で、その価格に対するクオリティの高さはサイゼリヤファンの間でも評価されてきたメニューです。これは使えそうですね。
サイゼリヤのパスタへのこだわりについては、公式サイトでも詳しく紹介されています。
リングイーネはどんなソースにも合うわけではありません。「平たくてソースが絡みやすい」という特徴を最大限に活かすには、ソースの種類選びが肝心です。
特に相性が良いとされるのは、ジェノベーゼ(バジルペースト)、クリームソース、そして魚介系のトマトソースの3系統です。これら3つはリングイーネの定番です。
ジェノベーゼとリングイーネの相性が抜群な理由は、バジルソースの油分と香りを麺の表面がしっかりと受け止めてくれるからです。バジル・松の実・ペコリーノチーズ・ニンニク・エクストラバージンオリーブオイルを合わせたソースは、細いスパゲッティだとソースが流れ落ちやすいのですが、リングイーネの楕円断面がしっかりとソースを保持してくれます。
一方、魚介系のトマトソース(ペスカトーレ)にもよく合います。有頭エビやムール貝から出る旨味の強いスープを、リングイーネの平たい面が余すことなく絡め取ります。魚介系ならリングイーネ一択という料理人も少なくありません。
また、あまり知られていないのがクリームソースとの相性の良さです。フェットチーネほど幅が広くないため、濃厚なクリームソースでも重くなりすぎず、なめらかに食べ進めることができます。
逆に、あっさりとしたペペロンチーノのようなオイル系ソースには、リングイーネよりもスパゲッティの方が向いています。リングイーネの持つもちっとした存在感が、シンプルなオイルソースには少しオーバースペックになってしまうためです。
| ソース種類 | リングイーネとの相性 | ポイント |
|---|---|---|
| ジェノベーゼ | ◎ 抜群 | バジルソースの香りを麺がキープ |
| 魚介トマトソース | ◎ 抜群 | 旨味スープを楕円断面が吸収 |
| クリームソース | 〇 良好 | 重くなりすぎずバランスが取れる |
| シンプルなオイル系 | △ やや不向き | スパゲッティの方がソースと馴染む |
ソースに合わせてパスタを選ぶのが原則です。
サイゼリヤのリングイーネを食べて「自宅でも再現したい」と思ったとき、最初につまずくのが茹で方の問題です。意外と知られていないのですが、リングイーネの正しい茹で方にはいくつかの重要なポイントがあります。
まず鍋と水の量です。リングイーネ100gを茹でる場合、最低でも1リットル以上のお湯が必要です。お湯が少ないと麺同士がくっつきやすく、均一に茹で上がりません。
次に塩の量です。日本パスタ協会の推奨目安は、水1リットルに対して塩5〜10g(小さじ1〜2)です。塩を入れる目的はただ塩味をつけるためではなく、麺のグルテン構造を引き締めてコシを生む効果があるためです。塩は必須です。
茹で時間については、乾麺のリングイーネの場合、商品によって8〜12分程度と幅があります。ディ・チェコの「No.7 リングイーネ」は標準茹で時間12分とパッケージに記載があります。ただし、ソースと絡める際にも火が入ることを考えると、パッケージ表示より1〜2分短めに茹でるのがプロの基本です。
アルデンテに注意すれば大丈夫です。
麺の中心に少し芯が残るアルデンテの状態でソースと絡め始め、フライパンの中で仕上げの30秒〜1分を過ごすことで、ちょうど良い火通りになります。この仕上げの段階でパスタの茹で汁を大さじ1〜2杯加えると、ソースが乳化してなめらかに麺へ絡みます。
茹で汁を捨てないのがコツです。
リングイーネを茹でたお湯には、溶け出たデンプンと塩分が含まれています。この茹で汁をソースに加えることで、油と水分が分離せずにまとまり、レストランのような滑らかな仕上がりになります。
日本パスタ協会による正しい茹で方の基本は以下のページで確認できます。
サイゼリヤでリングイーネの美味しさに目覚めたなら、自宅でも本格的な品を選びたいところです。市販のリングイーネにはいくつかのブランドがあり、それぞれ特徴が異なります。
まず最も手に入りやすく、品質の安定しているブランドがディ・チェコ(De Cecco)です。1886年創業のイタリアのパスタメーカーで、「No.7 リングイーネ」は幅3mm・厚み1mmという本格的なサイズで、スーパーやAmazonでも購入できます。価格は500gあたり約350〜500円程度で、コスパが高いブランドとして知られています。
ディ・チェコの特徴は「ブロンズダイス製法」にあります。ブロンズ(青銅)製の金型を使って麺を成形するため、麺の表面に微細な凹凸ができ、ソースが格段に絡みやすくなります。このザラついた質感がプロにも支持されている理由です。
つまり、表面のざらつきはソース絡みの証拠です。
もう一つ知っておきたいのが、高級品として人気の「マンチーニ(Mancini)」です。イタリアのマルケ州産で、小麦の栽培から製麺まで一貫して行うこだわりのブランドです。価格はディ・チェコより高めになりますが、小麦の風味が一段と豊かで、シンプルなオリーブオイルを絡めるだけでも驚くほど美味しく仕上がります。
乾燥パスタの保存については、開封後は密閉容器に移して高温多湿を避けた場所に置けば、未開封時と変わらない品質を長期間維持できます。一般的な乾麺の賞味期限は製造から2〜3年程度ですが、開封後も半年以内を目安に使い切るのが理想的です。
また、茹でる前日の夜から水に浸けておく「水漬けパスタ」という方法もあります。パスタ100gに対して水300〜400ml(乾燥パスタの約3倍量)に浸し、茹で時間の目安の約10倍(例:茹で時間12分なら約2時間)を浸けることで、生パスタのようなモチモチ食感になります。浸けた水ごとフライパンに入れて加熱する方法もあり、自宅での調理をより手軽にしてくれます。
ディ・チェコのリングイーネの詳細は日清製粉ウェルナの商品紹介ページで確認できます。
ディ・チェコ No.7 リングイーネ 商品情報 – 日清製粉ウェルナ