KENNさんは実は、悪役を演じたことでファンに「驚き」を与え、新たな代表作を獲得しています。
セッコは、『ジョジョの奇妙な冒険』第5部『黄金の風』に登場するキャラクターです。イタリアのギャング組織「パッショーネ」の中でも、ボス直属の親衛隊に所属する精鋭の一人として描かれています。
彼の名前の由来は、イタリア語で「乾燥した」「辛い(辛口の)」を意味する「Secco(セッコ)」です。この意味はワインの「辛口」にも使われる言葉で、一見するとおとなしそうな印象を与えますが、その実態は全く正反対。身長は約170cm(TVアニメ版対比表より)で、スタンド能力を具現化したダイバースーツのような特殊な衣装を常に身に着けており、素顔はほとんど明かされません。
セッコのバックグラウンドとしては、もともと元医者・チョコラータの「患者」だったという設定があります。つまり、命を左右するほどの関係から始まった間柄です。その後、二人は意気投合し、チョコラータの「人の死を撮影するライフワーク」のカメラマンとしてセッコが機能するという、歪んだコンビ関係が成立します。つまり師と生徒の関係です。
言葉のどもり方や、四つ足で動く動物のような仕草など、一見すると知性が低い人物のように描かれています。しかし、これが本性ではないことが物語の中盤で判明します。その点は後ほど詳しく触れます。
TVアニメ版でセッコを担当したKENN(本名:大橋賢一郎)さんは、1982年3月24日生まれ、東京都出身の声優・俳優・歌手です。芸名「KENN」はバンド活動中に「KEN」にしようとしたところ、同名アーティストとの区別と「4文字の方が運気が上がる」との助言から最終的に「KENN」に決まったという裏話があります。
KENNさんのキャリアのスタートは声優ではなく、バンドグループ「The NaB's」のサポートボーカル・キーボードとして2003年にデビューした音楽活動でした。その後2004年に俳優・声優業を開始し、アニメ初主演は『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』の遊城十代役です。声優デビュー作から主人公という異例のスタートでした。
その後の代表作を見ると、遊城十代のような「熱血主人公」、『アイドリッシュセブン』の四葉環のような「爽やかなアイドル」、『宇宙兄弟』の南波日々人のような「前向きな好青年」など、正義感あふれるキャラクターや主人公ポジションが圧倒的多数を占めます。これがKENNさんのイメージの「常識」です。
そのため、2018年のジョジョ第5部アニメでセッコという「頭の悪いふりをする残忍な悪役ギャング」の起用が発表された際、ファンの間で「KENNさんとはキャラが全く違う」という驚きが広がりました。しかし蓋を開けてみると、どもりながら喋るセッコ特有の台詞回しや感情表現がKENNさんの表現力によって見事に再現され、「KENNさんのジョジョ愛が伝わる」と高い評価を受けました。悪役でも光れるということです。
なお、ゲーム版(『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』および『アイズオブヘブン』)では下野紘さんがセッコを担当しており、同じキャラクターでありながらアニメ版とゲーム版で全く異なる声優が演じています。このような「メディアミックスによる声優交代」はジョジョシリーズでは珍しくない慣例ですが、それぞれの声優の個性がキャラクターの印象を変えるため、比べて聴くと面白い発見があります。
KENN|アニメキャラ・プロフィール・出演情報・最新情報まとめ(アニメイトタイムズ)
KENNさんの代表作や出演情報が網羅されており、セッコ以外の正義系・主人公系キャラとの比較参考に役立ちます。
セッコが使用するスタンド「オアシス(Oasis)」は、本体が全身に纏う「装着型スタンド」です。スタンド名の元ネタはイギリスの伝説のロックバンド「Oasis(オアシス)」。ちなみに、行動を共にするチョコラータのスタンド「グリーン・ディ」の元ネタはアメリカのパンクバンド「GREEN DAY(グリーン・デイ)」ですが、この二組は現実世界では犬猿の仲として有名です。荒木飛呂彦先生の遊び心が感じられる細かい設定です。
オアシスの基本能力は、「自身が触れたあらゆる物質を泥化させる」というものです。岩石、コンクリート、地面、そして生物まで、触れたものを液状・泥状に変化させることができます。この能力により、セッコは地中を自由自在に「泳いで」移動でき、地上の敵への奇襲攻撃を得意とします。
スタンドのスペックは以下の通りです。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 破壊力 | A |
| スピード | A |
| 射程距離 | B |
| 持続力 | A |
| 精密動作性 | E |
| 成長性 | C |
破壊力・スピードともにAというトップクラスのスペックを誇っており、作中でブチャラティ自身が「スティッキィ・フィンガーズより速く、パワーも高い」と認めています。地面のある場所であれば弱点がほぼなく、5部最強格との呼び声も高いです。
ただし、重要な弱点も存在します。オアシスは「防御力が低い」という欠点を持ちます。同じ装着型スタンドである「ホワイト・アルバム」と比較しても防御性能は劣り、物理的な衝撃が直接本体にダメージを与えます。さらに、泥化以外の特殊能力が一切なく、「聴覚などのスタンド特有の感覚」もありません。
この弱点をセッコが補っているのは、「人間離れした身体能力」です。地中でも正確に敵を捕捉できる驚異的な聴覚、水中活動を可能にする圧倒的な肺活量、さらに銃弾3発を口に含んだ小石で全弾弾き返すという規格外の身体能力がオアシスの弱点をカバーしています。
つまり「身体能力×スタンド能力」の掛け算で強さが成立しているということです。
また、チョコラータの「グリーン・ディ(カビを感染させるスタンド)」との相性が絶妙で、オアシスで地面を泥化させると全てのものが自動的に「低い位置」へと引きずり込まれ、カビの感染条件である「下がる」が強制的に発動します。ブチャラティとミスタが「今まで出会ったどのチームよりも相性がいい」と評したほどの凶悪なコンビネーションです。
【スタンド考察】セッコのオアシスを解説! ジョジョ5部(ジョジョ考察サイト)
オアシスの能力の詳細と、よく誤解される「競泳用全身水着」との違いなど、細かい設定が解説されています。
セッコの最大の魅力であり、多くのファンが衝撃を受けたのが「本性の暴露」シーンです。チョコラータの前では、たどたどしい言葉遣い、四つ足で歩く動物的な仕草、角砂糖を口でキャッチするペットのような振る舞いを見せていたセッコ。しかし、これは全て「演技」でした。
チョコラータがジョルノに敗北してゴミ収集車行きになったことを知った瞬間、セッコは別人のように態度を豹変させます。チョコラータから預かったと思われる携帯電話やビデオカメラを躊躇なく破壊し、こう言い放ちます。
「ふんっ!くそチョコラータ……あんたは頭もすごく良くて……角砂糖投げて遊んでくれるし、預金もいっぱいある。そんでとても強い…って思っていた。だからあんたの言う事聞いていれば安心と思っていた…でも、弱いじゃあねえーかよォォォ負けちまったんじゃあよオオオオオ!そんなカスもう好きじゃなくなったよッ!ぜーんぜんねェェェェッ!」
これは衝撃的な告白です。セッコがチョコラータに忠実だったのは「愛情」や「忠誠」からではなく、「強い者についていれば安心できる」という純粋に利己的な計算からだったのです。チョコラータのことを「頭がいい」「強い」「お金もある」という条件で評価し、それが崩れた途端に見捨てるという、ある意味で非常に現実的な価値判断をしていました。
そしてこのシーンで、セッコが見せていた「低知能ぶり」がある程度演技・フリだったことも明らかになります。チョコラータのために留守番録音を聞いて泣いて喜んだり、角砂糖を口でキャッチしたりしていた姿は、チョコラータに対してのみ見せていたパフォーマンスだったという解釈が成立します。
ただし、本性が出た後も行き当たりばったりで教養に乏しい部分は残っており、「知能が高い悪人」というわけでもありません。チョコラータを見捨てて組織も裏切りながら、最終的にはブチャラティに追い詰められると今度は組織への媚び売りを始めるなど、深謀遠慮とは程遠い行動を繰り返します。本性は「狡猾かつ粗野」という表現がぴったりです。
セッコの本性や劇中での活躍、声優情報など網羅的にまとめられており、キャラクター理解の入門として参照価値が高いです。
ここでは少し独自の視点で、セッコとチョコラータの関係性を考察してみます。サイゼリヤのメニューに「セッコ」と名のついたワインが存在することはご存知でしょうか。「セッコ(Secco)」はイタリア語で「辛口」を意味し、特にスパークリングワインの表現に使われます。
サイゼリヤのドリンクメニューに並ぶイタリア語名は、実は「ジョジョの奇妙な冒険」の世界観と深く地続きです。ジョジョ5部の舞台はイタリアであり、登場人物の名前・スタンド名はすべてイタリア語や洋楽バンド名に由来します。セッコのスタンド「オアシス」然り、チョコラータのスタンド「グリーン・ディ」然りです。
「辛口」を意味するセッコの名前は、彼のキャラクター性と絶妙にリンクしています。表面上は甘くペット然とした振る舞いをしながら、内面は徹底的に打算的で「辛口(冷徹)」。名前と本性が一致しているわけです。
チョコラータとの関係性も、一方的な主従ではなく「相互利用」だったことが本性暴露によって判明します。チョコラータ側も、セッコが本心では服従していないかもしれないことを把握しながら、「自分のスタンドと相性がよく、戦闘力が高い」という実利から関係を続けていた可能性があります。つまり利害が一致していた関係です。
このようなドライな関係性は、荒木先生が描く「悪役のリアリズム」の真骨頂とも言えます。チョコラータ&セッコは単純な「悪の手下」ではなく、善悪を超えた個人の利益計算で動く人間として描かれており、それがかえってキャラクターに奥行きを与えています。ファンの間で「ゲスコンビ」と呼ばれながらも独自の人気を誇るのは、この人間的なリアリティゆえでしょう。
サイゼリヤでジョジョ5部を語るとき、メニューの「セッコ」を目にしたら、ぜひこのキャラクターのことを思い出してみてください。イタリア語由来の名前の深みを感じながらワインを楽しむ、というのもジョジョファン的なサイゼリヤの楽しみ方のひとつです。
セッコ | CHARACTER(ジョジョの奇妙な冒険 公式ポータルサイト)
ジョジョ公式サイトによるセッコのキャラクター紹介ページ。チョコラータとの関係性などの基本情報が確認できます。