イタリア現地でスプレムータを頼むと、砂糖が一緒に出てくることがあります。
スプレムータ(Spremuta)とは、イタリア語で「搾りたてのフレッシュジュース」を指す言葉です。語源はイタリア語の動詞 *spremere*(搾る)で、その場でフルーツをしぼった100%果汁のことを意味します。
一方、イタリアにはもう一つ「ジュース」を表す単語があります。それが Succo(スッコ)です。スッコは瓶やパックに入った既製品のジュース全般を指し、濃縮還元タイプのものもスッコと呼ばれます。つまり、スプレムータは「その場で生搾りしたもの」に限られた特別な呼び方です。
サイゼリヤが好きな方には、イタリア語のメニュー名に親しみがある方も多いでしょう。スプレムータという言葉も、現地のバールメニューにそのまま書いてある単語なので、覚えておくとイタリア旅行でとても役立ちます。
つまり「生搾り」かどうかが、2つの違いです。
バールでスプレムータを注文するときは「ウナ スプレムータ ダランチャ(Una Spremuta d'Arancia)」と言うのが基本です。「ダランチャ」はオレンジを意味する Arancia の前置詞付き形。ブラッドオレンジなら「スプレムータ ダランチャ ロッサ(Spremuta d'Arancia Rossa)」と注文します。最後に「ペルファヴォーレ(Per favore)」を添えると丁寧な印象になります。
イタリアのバールの定番メニューをイタリア語と値段相場で解説(italiaryokou.info)
イタリアのバール(Bar)はエスプレッソが1杯1ユーロ台で飲める庶民の場所として知られています。しかし、スプレムータはオレンジを1杯あたり2〜3個まるごと使うため、コーヒーより割高になります。
バールでのスプレムータの価格の相場は、2.5〜5ユーロ(約400〜800円)が目安です。物価の高いミラノの高級バールでは7ユーロ(約1,100円)になることもあります。一方、イタリアのスーパーマーケットで売られているボトルタイプのスプレムータは3〜4ユーロ程度とお買い得です。
バールには「立ち飲み(カウンター)」と「テーブル席」があり、同じメニューでも価格が異なります。カウンターの方が明らかに安く、イタリア人の多くは立ったままサッと飲むスタイルを好みます。スプレムータも例外ではなく、カウンターで頼む方がコスパ良く楽しめます。
また、イタリアではスプレムータと一緒に砂糖が提供されることがあります。これはシチリアなど南部では特に一般的で、地元の方々は「砂糖を入れるとビタミン吸収率が上がる」という言い伝えを守っているからです。日本人からすると意外ですが、砂糖なしでも十分に甘くフレッシュなので、好みに合わせて調整するのがベストです。
これが現地のスタンダードです。
「イタリア気分を350円で!?」駅で出会ったスプレムータの話(note)
スプレムータはイタリアのバールで1年中頼める印象を持たれがちですが、実は一番おいしく飲める「旬の季節」があります。それは冬から春先、特に12月〜3月頃です。
この時期はシチリア産のブラッドオレンジ(アランチャ・ロッサ)が最盛期を迎えます。ブラッドオレンジはシチリア島でしか本格的に育たないといわれる希少な品種で、カターニア周辺が最大の産地です。真っ赤な果肉の色が出るのも、この寒い季節に熟した証拠で、季節のピークになると1.5キロのネットが300円程度と驚くほど手頃になります。
ブラッドオレンジには代表的に3つの品種があります。
旬のピーク時には色の濃さで新鮮さがわかります。切り口が真っ赤に近いほど風味が強く、ジュースにしたときの味が濃厚になります。旬の時期を外れると普通のオレンジジュースと変わらない薄い風味になってしまうことも。旬が基本です。
日本でも高根島(広島)や一部産地でブラッドオレンジが生産されており、2月〜3月頃に期間限定でスプレムータとして提供するカフェや農園が出てきています。
スプレムータを「ただのオレンジジュース」と思っていると、その栄養価の高さに驚くはずです。特にブラッドオレンジを使ったスプレムータは、通常のオレンジジュースと比較して明らかに異なる栄養プロフィールを持っています。
まず注目すべきはビタミンCの含有量です。シチリア産ブラッドオレンジのスプレムータは、通常のオレンジジュースの約2倍のビタミンCを含んでいます。コップ2杯(200ml)で1日に必要なビタミンC(100mg)をほぼ摂取できる計算です。ビタミンCは免疫機能のサポートや、美肌に欠かせないコラーゲン合成を助ける働きをします。
さらにブラッドオレンジが通常のオレンジと根本的に違う点は、アントシアニンを含むことです。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブルーベリーに多く含まれることで有名な成分。強い抗酸化作用を持ち、細胞の老化を促すフリーラジカルを中和します。目の疲れや老化予防にも役立つとされ、健康意識の高い方にとっては見逃せない成分です。
ただし、注意点もあります。スプレムータはコップ1杯(200ml程度)に作るためにオレンジを2〜3個使います。果糖の摂取量が増えるため、飲みすぎると糖分過多になるリスクがあります。1日1杯を目安に楽しむのが適切です。
サイゼリヤのドリンクも魅力的ですが、本場のスプレムータには市販のジュースとは一線を画す「生の栄養素」が詰まっています。果汁を搾った直後から酸化が始まるため、飲む直前に搾るのが最もビタミンCを活かせます。
ブラッドオレンジのアントシアニンと抗酸化作用の解説(emonya.jp)
イタリアに行かなくても、スプレムータの魅力は自宅で十分に再現できます。サイゼリヤのイタリア料理を自宅で楽しむように、スプレムータも少し工夫するだけで本格的な味に近づけます。
最もシンプルな方法は、スーパーや輸入食品店でブラッドオレンジ(またはタロッコオレンジ)を買って、手動の搾り器で絞るだけです。オレンジを半分に切り、果汁絞り器でギュッと搾るだけで完成します。コップ1杯(150〜200ml)を作るのに、大きめのオレンジで2〜3個が目安です。
手軽に本場の味に近づけたい方には、シチリア産の冷凍ブラッドオレンジジュースを使う方法もあります。カンポ・ディ・フィオーリ社などのイタリア産冷凍スプレムータは、搾りたての果汁をそのまま冷凍したもので、砂糖・添加物ゼロの果汁100%です。冷蔵庫で自然解凍して飲むだけで、限りなく現地に近い味が楽しめます。
| 方法 | コスト目安 | 再現度 | 手間 |
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| 国産ブラッドオレンジを手搾り | 200〜400円/杯 | ★★★★☆ | 少し手間あり |
| 冷凍シチリア産ジュースを解凍 | 150〜200円/杯 | ★★★★★ | ほぼなし |
| 国産オレンジを手搾り | 100〜200円/杯 | ★★★☆☆ | 少し手間あり |
道具については、シリコン素材の卓上搾り器なら1,000〜2,000円程度で購入でき、洗い物も楽です。イタリアの家庭でもよく使われているのは押すだけで自動回転するタイプの搾り器で、一度使うと手離せなくなると評判です。
本場イタリアのバールと同じように楽しむなら、グラスを少し冷やしておくのがおすすめです。搾りたてのスプレムータを冷えたグラスに注ぐだけで、気分はミラノのバールそのものになります。これは使えそうです。
市販のオレンジジュース(濃縮還元)とはまったく異なる「フレッシュな果物の風味と甘み」を一度体験すると、もう戻れないという声が多いのも納得できます。サイゼリヤの料理を食べながら、あるいはイタリア旅行の計画を立てながら、自宅スプレムータを楽しんでみてください。
シチリア産冷凍ブラッドオレンジジュース(スプレムータ)の商品情報(italia-tanicha.com)