サイゼリアで白ワインを頼んでいるのに、グラスをそのまま飲むと香りの7割以上が逃げています。
トレッビアーノ・ダブルッツォは、イタリア中部のアブルッツォ州で造られる白ワインです。使用されるブドウ品種は「トレッビアーノ・アブルッツェーゼ」で、アドリア海に面した温暖な丘陵地帯が産地になります。「ダブルッツォ」とは「d'Abruzzo(アブルッツォの)」という意味で、産地名がそのままワイン名になっています。
外観は淡いレモンイエローで、グリーンがかった輝きが特徴的です。香りはレモンや夏みかんなどの柑橘系フルーツに加え、百合や白い花のニュアンスが感じられます。味わいはフレッシュでクリーン、きりっとした酸味があり、後味にわずかな苦みが残ります。アルコール度数は12〜13.5%程度のものが多く、飲みやすい辛口スタイルです。
つまり「フレッシュ・クリーン・爽やか」が基本です。
ここで少し注意したいのは、「トレッビアーノ」という名前が実に多義的だという点です。イタリアにはトレッビアーノを名乗るブドウが少なくとも6種類存在しており、それぞれ遺伝的関係はほとんどありません。日本に「田中さん」がたくさんいても血縁関係がないのと似ています。トレッビアーノ・ダブルッツォに使われる「アブルッツェーゼ」は、その中でも最も品質評価が高い品種です。ワインの専門家からは「上質なシャブリに似た密度と緊張感がある」と評されるほどで、他のトレッビアーノとは一線を画す存在です。
また、フランスで「ユニ・ブラン」と呼ばれて広く栽培されているのは別品種の「トレッビアーノ・トスカーノ」です。コニャックやアルマニャックの原料として有名なあのブドウとは、別物だということを覚えておきましょう。
日欧商事(JET)によるトレッビアーノ・アブルッツェーゼのブドウ品種解説ページ。品種の特徴・歴史・風味をくわしく確認できます。
サイゼリアのグラス白ワインが「トレッビアーノ・ダブルッツォ」であることは、ワインを勉強し始めた人の間ではよく知られた事実です。しかし、なぜ100円(税込)という価格で提供できるのかは、意外と知られていません。
サイゼリアは1993年からイタリア産ワインの直輸入を開始し、現地ワイナリーと長期契約を結んでいます。流通市場を通さず直接仕入れるため、中間マージンが発生しません。さらに、サイゼリア専用のタンクで現地発酵させ、高級ワインと同じ定温コンテナ(温度管理された特殊コンテナ)で輸送するというこだわりも見せています。鮮度維持のために2ヶ月以内に消費するサイクルを厳守しているため、常にフレッシュな状態で提供されています。
これは使えそうです。
サイゼリアの創業者は「日本でもコーヒーより安くワインを日常の飲み物にしたい」という情熱でこのビジネスモデルを構築したといわれています。正式名称が「イタリアンワイン&カフェレストラン サイゼリヤ」であることも、ワインへの強い思いの表れです。グラス1杯120mlで100円という価格は、確かに驚異的ですが、それを実現するための企業努力は相当なものです。
一方で、サイゼリアのグラスワインをそのまま飲んでいると、ひとつ損をしていることがあります。サービスされた状態ではやや常温に近い場合があり、トレッビアーノ・ダブルッツォの理想的な飲み頃温度(7〜10℃)より高くなっていることがあるからです。グラスをしばらく手で持ったまま飲むと、さらに温度が上がり、フレッシュな酸味とアロマが損なわれてしまいます。注文したらすぐ飲む、が原則です。
ENCOUNT(エンカウント)によるサイゼリヤ100円ワインの裏話記事。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートが解説するサイゼリヤワインの価格の秘密と企業努力を詳しく紹介。
トレッビアーノ・ダブルッツォの産地、アブルッツォ州はアドリア海に面したエリアです。現地では魚介料理と合わせて飲まれるのが定番で、このワインのキャラクターを理解するうえでも大切な情報です。
フレッシュな酸味とクリーンな味わいが特徴なので、同じような酸味を持つ料理、または油分を爽やかに洗い流してくれる軽い料理との相性が良好です。サイゼリアのメニューで具体的に挙げると、次のような料理が特によく合います。
| サイゼリアメニュー | 相性 | ポイント |
|---|---|---|
| エビとブロッコリーのオーブン焼き | ◎ | 魚介×爽やかな酸が好相性 |
| 白身魚のムニエル | ◎ | シンプルな塩味と柑橘アロマがマッチ |
| 小エビのサラダ | ◎ | 海の恵みとフレッシュさが一致 |
| ホウレン草のソテー | ○ | あっさりした野菜料理に寄り添う |
| マルゲリータ(ピザ) | ○ | トマトの酸味とワインの酸が調和 |
| 辛味チキン | △ | スパイシーさとの組み合わせはやや重め |
注意点があります。バターをたっぷり使ったクリーム系ソースや、濃い肉料理に合わせると、ワインの軽やかさが負けてしまいます。このワインはあくまで「引き算の料理」と組み合わせるのが賢い選択です。シンプルな素材感を活かした料理に合わせることで、ワインの魅力が最大限に引き出されます。
豆腐との組み合わせも意外なほどよく合います。これはワイン専門家がすすめるマリアージュで、刻み玉ねぎとオリーブオイル、お酢をかけた豆腐カルパッチョとの組み合わせは、夏場に特におすすめです。サイゼリアで頼んだグラスワインをテイクアウトして自宅料理と楽しむ、という使い方もできます(テイクアウト対応可能かは店舗により異なります)。
「あっさりした料理」が条件です。
ワイン専門商社フィラディスによるトレッビアーノのペアリング解説。魚介料理との具体的なマリアージュレシピつきで、サイゼリアでの活用にもそのまま参考になります。
サイゼリアで飲んで気に入ったなら、ぜひ自宅でも同品種のワインを楽しんでほしいところです。市販品のトレッビアーノ・ダブルッツォは価格帯が広く、1,000円台から数万円のものまで存在します。
まず初心者にいちばんおすすめできるのが、ファルネーゼのファンティーニ トレッビアーノ・ダブルッツォです。アブルッツォ州を代表するワイナリー「ファルネーゼ」が手がけるエントリーラインで、価格は1,000〜1,500円程度と手が届きやすいながら、品質は折り紙つきです。柑橘の皮・白い花・百合の香り、きりっとした酸とクリーンな果実味が揃っており、トレッビアーノ・ダブルッツォの良さをわかりやすく体験できます。ブドウを0℃以下で一時保管してからゆっくり発酵させることで、フレッシュなアロマをしっかり閉じ込める製法が特徴です。
さらに上を目指すなら、エミディオ・ペぺやヴァレンティーニのトレッビアーノ・ダブルッツォが別格の存在として知られています。ヴァレンティーニのものはイタリアで最も手に入れにくい(そして高価な)白ワインのひとつで、足踏み圧搾・セメントタンク発酵・無ろ過仕上げという古来の製法を守り続けています。価格は1本3万円以上になることも珍しくなく、ワインマニアの垂涎の的です。
意外ですね。
コスパの良い中間帯としては、グラン・サッソやスピネッリのトレッビアーノ・ダブルッツォがスーパーや通販でも手に入りやすく、1,500〜2,000円程度で本場アブルッツォの味わいを楽しめます。
選ぶ際のコツは「生産年(ヴィンテージ)をできるだけ新しいものにする」ことです。トレッビアーノ・ダブルッツォは長期熟成向きではなく、フレッシュな果実味が命。購入時点で2〜3年以内のものを選ぶのが基本です。
アブルッツォ州のおすすめワイン4選を紹介するレビュー記事。ヴァレンティーニやファンティーニなど定番銘柄の口コミ・評価を確認できます。
せっかくボトルで購入したトレッビアーノ・ダブルッツォも、温度管理を誤ると本来の味わいが半減します。ここだけ知っておけばOKです。
未開封の保存については、直射日光を避けた冷暗所(12〜15℃)が理想的です。ただしトレッビアーノ・ダブルッツォは熟成向きではないため、購入後は早めに飲むのが正解。ワインセラーがなくても、玄関など比較的温度変化の少ない場所で数週間程度の保管なら問題ありません。
飲む前の冷やし方については、冷蔵庫で2〜3時間前から冷やし、7〜10℃程度にするのが理想です。はがきの横幅(約10cm)ほどの薄型ワインクーラーに氷水を入れてボトルを差し込むと、食卓での温度管理も楽にできます。飲み始めから時間が経つと温度が上がってくるので、ワインクーラーを使うか、グラスへの注ぎ量を少なめにして都度注ぐようにするとよいでしょう。
開封後の保存は2〜3日を目安にしましょう。開封後は酸化が進むため、コルクやスクリューキャップをしっかり閉めてボトルを縦置きにし、冷蔵庫で保管するのが原則です。真空ポンプ式のワインストッパー(1,000〜2,000円程度で購入可能)を使うと、ボトル内の空気を抜いて酸化を遅らせることができます。飲み残しがある場合はぜひ活用してみてください。
厳しいところですね。
グラスの選択も香りに大きく影響します。サイゼリアでの提供グラスはシンプルな形状ですが、自宅では少し大ぶりの白ワイングラスを使うだけで、香りの広がりが格段に良くなります。グラスの上部が緩やかに広がる形状のものが、トレッビアーノの柑橘系アロマを引き出すのに適しています。
サントリーによる白ワインの保存方法・温度調整・開栓後の管理を詳しく解説したページ。白ワイン全般に使える基礎知識として参考になります。

【コスパイタリアデイリーワイン】スピネッリ トレッビアーノ・ダブルッツォ [ NV 白ワイン 辛口 イタリア 750ml ]