サイゼリヤのあさりが入ったボンゴレを500円でも食べ続けていると、実は旨味の8割を引き出せていないまま食べている可能性があります。
ヴォンゴレパスタを注文するとき、メニュー名の意味をちゃんと知っている人は意外と少ないものです。「ヴォンゴレ(Vongole)」とはイタリア語で「あさり」という意味で、複数形にあたります。日本では「ボンゴレ」とも表記されますが、どちらも同じ料理を指しています。つまり「ヴォンゴレパスタ」を直訳すれば「あさりのパスタ」になります。
ヴォンゴレパスタには大きく分けて2種類あります。まず「ビアンコ(Bianco)」はイタリア語で「白」を意味し、白ワインとオリーブオイルをベースにしたシンプルな仕上がりが特徴です。一方「ロッソ(Rosso)」は「赤」を意味し、トマトソースを使ったバージョンです。サイゼリヤの「スープ入り塩味ボンゴレ」はビアンコ系に属し、あさりの出汁が効いたスープが最大の特徴です。
どちらが美味しいかは好みによります。ただ、ビアンコのほうがあさり本来の旨味を直接感じやすく、シーフード好きに特に人気があります。ロッソはトマトの酸味が加わることで食べやすく、初めてヴォンゴレパスタを試す人にも向いています。つまり好みで選んで問題ありません。
イタリアではナポリ周辺が「ボンゴレビアンコ」発祥の地とされており、南イタリアの漁師料理として広まったと言われています。シンプルな材料ほど食材そのものの質が問われる料理の代表格で、地方によってにんにくの使い方やパセリの量など、細部に個性が出るのも面白いところです。
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サイゼリヤの「スープ入り塩味ボンゴレ」は税込500円で食べられる、コスパがとにかく凄まじいパスタです。何が凄いかというと、あさりが殻付きで21粒以上たっぷりと使われており、麺がほぼ隠れるほどゴロゴロ乗っています。外食でこれだけあさりを使ったパスタを食べようとすれば、イタリアンレストランでは1,500〜2,500円前後が一般的です。
カロリーは564kcal、塩分は3.0gで、濃縮したあさりの旨味にほのかなガーリックの香りが加わる仕上がりです。これは単なる安さではなく、サイゼリヤが大量仕入れと独自のセントラルキッチン方式を採用しているからこそ実現できる価格設定です。スープ部分は貝の出汁が凝縮されており、パスタを食べ終わった後もスープだけ飲み干したくなるという声がSNSに多く上がっています。
さらに嬉しいのが、このメニューが季節限定(冬〜春)として提供される点です。毎年その時期になるとSNSでざわつくほどの人気ぶりで、「今年もボンゴレの季節が来た」と楽しみにしているリピーターが多数います。これは使えそうです。
サイゼリヤでボンゴレを頼むなら、アレンジもおすすめです。ドリンクバーのレモン汁を2〜3個絞ってかけると、あさりとイタリアンパセリとレモンの酸味が絶妙にマッチすると話題になっています。追加コスト0円でできるアレンジなので、次回ぜひ試してみてください。
自宅でヴォンゴレパスタを作るとき、多くの人が「塩水につけるだけ」で砂抜きを済ませています。しかしそれだけだと、あさりの旨味を半分以上捨てているかもしれません。
独立行政法人水産総合研究センターの研究によると、砂抜きの塩水にブドウ糖を加えると、あさりの旨味成分であるコハク酸の量が通常の2.8倍に増えることが確認されています。コハク酸はあさり独特の深いコクと複雑な風味を生み出す有機酸で、ヴォンゴレパスタの美味しさを左右する核心的な成分です。旨味がアップするということですね。
家庭でブドウ糖を用意するのは難しいですが、代用品があります。それはハチミツです。ハチミツの主成分はブドウ糖と果糖であるため、砂抜きの塩水に一滴たらすだけでコハク酸が2.8倍前後に増加します。日本テレビ「所さんの目がテン!」でも実験が行われ、通常の砂抜きと比較してコハク酸が3倍以上アップするという結果が出ました。
| 砂抜き方法 | コハク酸の量 | 備考 |
|---|---|---|
| 通常の塩水のみ | 基準値(1倍) | 一般的な方法 |
| 塩水+ブドウ糖 | 約2.8倍 | 水産総合研究センター実験 |
| 塩水+ハチミツ1滴 | 約3倍以上 | 「目がテン!」実験結果 |
砂抜きの正しい塩分濃度は3%が基本で、水300mlに対して塩小さじ2弱が目安です。あさりを重ならないようにバットに並べ、頭が少しだけ出る程度の高さまで塩水を注ぎます。暗い場所に1〜2時間おくと砂をよく吐き出します。ハチミツはその塩水に加えれば完了です。この一手間で旨味が大きく変わります。
また、砂抜き済みのパック入りあさりを使う場合でも、購入後に30分ほど塩水に置いておくと旨味成分のコハク酸がさらに増えるとされています。砂抜き中にあさりはグリコーゲンを消費してコハク酸を生成するためです。潮干狩りで採りたてのあさりより、スーパーのパックあさりの方が旨味が強いことがあるのはこれが理由です。意外ですね。
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ヴォンゴレパスタを自宅で作ると、あさりの身が小さく縮んでゴムのようにパサパサになってしまった、という経験をした人も多いはずです。この失敗の原因はほぼ100%、加熱しすぎです。
フランス料理の巨匠ジョエル・ロブション氏の研究と、日本の料理科学の知見によると、あさりの身が最もふっくらと美味しく仕上がる加熱温度は85〜90℃です。理想的には85℃で約1分間加熱すれば、プリプリの身を保つことができます。高温で一気に加熱するイタリア式(オリーブオイルを熱したフライパンにあさりを投入する方法)は火力のコントロールが難しく、あさりの身が縮むリスクが高まります。加熱温度が条件です。
プロが実践する確実な方法は「冷たい状態のフライパンからスタートする」ことです。あさり、にんにく(薄切り)、白ワインまたは日本酒、バターを冷たいフライパンに一緒に入れてから火をつけ、中火でじっくり加熱します。沸騰してきたら弱火に落とし、1分30秒〜2分で火を止めます。あさりの口が半分ほど開いたら、蓋をしたまま余熱で残りの口を開かせることが大切です。
もう一つの重要なポイントが「乳化」です。オリーブオイルとパスタの茹で汁(塩水)をよく混ぜ合わせてソースを乳化させることで、とろっとした食感がパスタにしっかりと絡みます。乳化が不十分だと、ソースが水っぽくなって味が定まりません。パスタを茹でた塩水を大さじ1〜2杯ほど残しておき、フライパンに加えてよく混ぜるのが基本です。つまり茹で汁を捨てないことが前提です。
白ワインがない場合は日本酒で代用できます。日本酒にはアミノ酸が豊富に含まれており、あさり独特の臭みを抑えつつ旨味を引き出す効果があります。「あさりの酒蒸し風パスタ」として仕上がり、これはこれで和風の深みが出て美味しいと評判です。
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サイゼリヤのボンゴレが好きで自宅でも再現したいという人に向けて、材料選びで押さえておきたいポイントをまとめます。実はここが味の差をいちばん生む部分です。
まずパスタの麺についてですが、ヴォンゴレパスタには太さ1.4〜1.6mmのスパゲッティーニが適しています。スパゲッティ(1.8〜2.0mm)だとスープの旨味を吸いきれず、逆に細麺(1.2mm以下)だと煮崩れしやすくなります。スパゲッティーニが基本です。
あさりは「砂抜き済み」のパックか、冷凍あさりどちらでも使えます。
オリーブオイルはエキストラバージンオリーブオイルを使うのが理想ですが、加熱に使う分には安価なものでも問題ありません。風味づけの仕上げ用に少量だけEXオリーブオイルを使い分けると、香りが格段にアップします。
にんにくは必須です。1人前で1〜2かけが目安で、薄切りにして弱火でじっくりオイルに香りを移すことが重要です。焦げると苦みが出てしまうので、弱火で2〜3分かけてゆっくり炒めるのが正解です。
白ワインは辛口を使いましょう。甘口だと仕上がりが甘くなりすぎてあさりの塩味と競合します。「料理用ワイン」として市販されている安価な辛口白ワインで十分対応できます。1本あれば複数回使えるので、コスパも悪くありません。
最後に、イタリアンパセリか普通のパセリを必ず加えてください。みじん切りにして仕上げに散らすだけで、風味と彩りが格段に変わります。研究によると、イタリアンパセリと通常の縮れパセリは香り成分や甘みがほぼ同等で、みじん切りにして加熱すれば味の差はほぼありません。つまりスーパーで手軽に入手できる縮れパセリでも問題ありません。
シェフが教えるあさりのパスタ「ボンゴレビアンコ」のレシピ・コツ|mi-journey