サイゼリアのデカンタで赤ワインをよく注文するあなたが、実はモナストレルを飲んだことがあっても「品種名は知らなかった」という人は8割以上います。
モナストレル(Monastrell)は、スペインのバレンシア州を原産とする黒ブドウ品種で、修道院を意味するラテン語「Monasteriellu」を名前の由来に持ちます。14世紀後半にはすでに栽培の記録が残っており、修道士によって育てられてきた歴史ある品種です。
「モナストレルという名前を聞いたことがない」という方でも、別名を聞けばピンとくるかもしれません。フランスでは「ムールヴェードル(Mourvèdre)」、アメリカやオーストラリアでは「マタロ(Mataró)」と呼ばれており、世界中でなんと95以上もの別名を持つといわれています。意外ですね。
スペイン国内での栽培量は黒ブドウ品種のなかで第4位(2017年OIVレポートで約43,000ha)。ムルシア州ではブドウ畑の約80%をこの品種が占めるほど、地域に深く根付いています。東京ドーム約9,000個分の広さで栽培されているイメージを持つと、その規模の大きさが少し掴みやすくなります。
フランスでは「バンドール」や「シャトーヌフ・デュ・パプ」といった権威ある産地で用いられているため、むしろフランス語名のムールヴェードルのほうが世界的知名度は高い状況です。つまり、スペインが原産国でありながら、フランスの産地を経由して世界的な評価を得た品種という、ユニークな経歴を持っています。
ムールヴェードル(モナストレル)の品種特徴・産地・合う料理の詳細解説(楽しいワイン)
モナストレルの果実は「小粒で果皮が厚い」ことが大きな特徴です。このため、ワインにはポリフェノールやアントシアニンが豊富に含まれ、黒みを帯びた非常に濃い色調になります。見た目だけで「濃そう」と感じる、ボルドーを超えるような深い赤紫色が目印です。
香りはとても多層的で、若いうちは黒系果実(カシス、ブラック