薄力粉で作ったオレッキエッテは、ソースが絡まず別の料理になります。
オレッキエッテはイタリア語で「小さな耳」を意味するショートパスタです。南イタリアのプーリア州とバジリカータ州を代表する郷土料理として、何百年も前から地元の家庭で作り続けられてきました。サイゼリヤのメニューでもおなじみの形状で、「あの独特の食感が好きで食べている」という方も多いはずです。
オレッキエッテの最大の特徴は、その独特のカップ型の形状にあります。表面がなめらかで、内側に向かって深くくぼんでいるため、ソースがそのくぼみに溜まり、一口ごとに濃厚な味が口の中に広がります。乾麺タイプは市販されており、茹で時間は約12〜13分が目安です。一方、手打ちの生パスタは2〜3分で茹で上がり、食感もまったく別物です。これは使えそうです。
本来のオレッキエッテは、デュラム小麦のセモリナ粉と水と塩だけで作られます。卵は一切使いません。この「卵なし」という点が、日本で一般的な手打ちパスタのイメージとは大きく異なります。卵を使わないぶん生地の色が白く、粉本来の素朴な風味とモチモチ感が際立つのが特徴です。
| 種類 | 茹で時間の目安 | 食感の特徴 |
|---|---|---|
| 乾麺(市販品) | 12〜13分 | しっかりとした歯ごたえ |
| 手打ち(生パスタ) | 2〜3分 | モチモチ・弾力が強い |
| 冷凍(手打ち後) | 4〜5分(冷凍のまま) | 生パスタに近い食感 |
プーリア州では「チーメ・ディ・ラーパ(菜の花に似た野菜)」との組み合わせが伝統的ですが、日本ではブロッコリーを代用するのが一般的です。サイゼリヤでも馴染みのある食材の組み合わせなので、食べたことがある方ならイメージしやすいでしょう。
参考:プーリア州のオレキエッテ文化と歴史について
チーメ・ディ・ラーパのオレキエッテ・パスタvol.8 | イタリア好き
手打ちオレッキエッテを成功させるうえで、最も重要な要素が「粉選び」です。ここを間違えると、いくらこねても形成しにくい生地になるか、逆にべたついてうまく成形できません。粉の選択が仕上がりを左右します。
本場のレシピでは「デュラムセモリナ粉100%+水」が基本です。デュラムセモリナ粉とは、デュラム小麦という硬質小麦を粗めに挽いた粉で、鮮やかな黄色みを帯びた粒子感が特徴です。このデュラムセモリナ粉は薄力粉や強力粉と比べてグルテンの質が非常に強く、弾力とコシを生み出します。結論は「セモリナ粉がモチモチの鍵」です。
ただし、デュラムセモリナ粉100%の生地は初心者には扱いにくいという側面もあります。粒子が粗い分、生地がまとまりにくく、こねるのにかなり力が必要です。そこで初めて挑戦する場合は、以下の配合がおすすめです。
日清製粉ウェルナの公式レシピでは「強力粉100g+水50ml+塩ひとつまみ+オリーブオイル大さじ1」というシンプルな配合が紹介されており、オリーブオイルを少量加えることで生地がまとまりやすくなります。オリーブオイルは生地の扱いやすさを格段に上げる裏ワザです。
薄力粉はグルテンが少なく、パスタにすると形が崩れやすくなります。オレッキエッテの「ちゅるもち」とした弾力は出ません。もし薄力粉しか手元にない場合は、セモリナ粉や強力粉を通販や富澤商店などの製菓材料店で入手してから挑戦することをおすすめします。
参考:セモリナ粉と各種小麦粉の違い・手打ちパスタへの影響について
初心者でも簡単!セモリナ粉で作る、もちもち手打ちパスタの作り方 | 富澤商店
いよいよ実際の作り方です。特別な道具は一切必要ありません。麺棒すらいらず、まな板とバターナイフ(または普通のナイフ)だけで成形できます。これが基本です。
【生地の作り方・ステップ別】
寝かせる時間は省かないのが原則です。プロのシェフでも「練ってから20分寝かせ+再度練る」を4回繰り返すことで、水分が全体に行き渡ったなめらかな生地が完成します。
【成形のコツ:ナイフを使った本格的な方法】
切った断面を上にして置き、バターナイフの腹で手前に引きながら押しつぶします。このとき生地がナイフに巻き付くように動かすのがポイントです。そのまま指でパっとひっくり返すと、ぷっくりとした耳型(カップ型)が完成します。ひっくり返した表面にギザギザの筋がついていれば大成功です。
【初心者向けの成形方法】
ナイフが難しければ、人差し指1本で代用できます。切った生地の断面に指先を当て、手前に引くように押しながら転がします。これだけで耳型になります。指一本で覚えるのがコツです。もう一つの方法は、ザルの側面(網目部分)に生地を押し付けるとギザギザ模様が自然につきます。どちらの方法も成形結果は同じで、ソースの絡み具合に差は出ません。
冬場は生地に水が回りにくいため、寝かせる時間を長めにとるのが無難です。逆に夏場は生地が乾燥しやすいので、作業中は使わない生地を必ず濡れ布巾かラップで覆っておきましょう。乾燥は大敵です。
成形したオレッキエッテを使った料理の中でも、最も定番かつ「本場の味」として知られているのが、ブロッコリーとアンチョビを使ったプーリア州の郷土ソースです。サイゼリヤのパスタメニューで目にしたことがある方も多い、あのこってりした旨味はここから来ています。
【材料(2人分)】
【作り方】
アンチョビがソース全体の塩分を担うため、仕上げに追加する塩は最小限にするのがポイントです。塩の入れすぎに注意すれば大丈夫です。
また、ブロッコリーを「煮崩れるほど柔らかく茹でてからソースにする」プーリア本場スタイルにすると、さらにコクのある仕上がりになります。このとき、ブロッコリーを茹でた湯をそのままパスタの茹で汁として再利用すると、野菜の甘みと旨味がパスタ全体に移って一段と美味しくなります。これは知らないと損する技です。
参考:プーリア風ブロッコリーとアンチョビのオレキエッテソースの作り方
ブロッコリーの自家製オレキエッティ プーリア風 | シェフごはん(ぐるなび)
せっかく手打ちしたオレッキエッテも、茹で方や保存を間違えると食感が台無しになります。特に生パスタは乾麺と扱いが大きく異なるので、この点を押さえておくだけで仕上がりが変わります。
【茹でる前にやること:乾燥防止】
成形したオレッキエッテはすぐ茹でるか、打ち粉をたっぷりまぶしてからしばらく乾燥させます。乾燥させるほどくっつきにくくなるため、まとめて作り置く場合は成形後に30分ほど風通しの良い場所に並べてから打ち粉をして保存します。
【茹で方のポイント】
2分を超えたあたりから1個ずつ取り出して噛んで確かめるのが確実です。好みの硬さより少し手前で引き上げ、フライパンで30秒ほどソースと絡めると、ちょうど良い仕上がりになります。
【保存方法まとめ】
手打ちパスタは乾燥パスタと違い、水分を多く含むため日持ちはしません。冷蔵保存なら打ち粉をして1食分ずつラップに包み、翌日中に使い切るのが原則です。
それ以上保存したい場合は冷凍一択です。打ち粉をたっぷりして麺どうしをほぐし、クッキングシートの上に並べてから冷凍庫に入れます。1時間ほどで凍ったら、冷凍保存袋に移し替えると2〜3週間保存できます。まとめて作っておくと平日のパスタが格段に楽になります。
| 保存方法 | 保存期間の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 冷蔵 | 翌日中(約1日) | 打ち粉を忘れずに・ラップで密閉 |
| 冷凍 | 2〜3週間 | 解凍せず凍ったまま茹でる |
| 乾燥保存(自然乾燥) | 2〜3日 | 完全に乾燥させること・湿気に注意 |
休日にまとめて成形し、冷凍しておけば平日でも手打ちパスタが食べられます。1回作れば5〜6食分は保存できるので、最初の手間を惜しまなければコスパは最高です。
参考:生パスタ・乾燥パスタの茹で方と保存方法について
自家製オレキエッテのトマトソース | 日清製粉ウェルナ公式レシピ