サイゼリヤのデザートを「ただのスイーツ」と思って注文しているなら、1食分の価値を丸ごと損しているかもしれません。
ペストリー(pastry)とは、小麦粉にバターやショートニングなどの油脂、砂糖、塩、卵などを混ぜ合わせてパイ状に焼き上げたお菓子・料理の総称です。「パイやタルト=甘いスイーツ」というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実はペストリーには甘くない惣菜系(セイボリーペストリー)も含まれます。キッシュやミートパイがその代表例で、食事として食べられることも多い幅広いジャンルです。
日本語では「ペイストリー」「ペーストリー」とも呼ばれます。どれも同じ英単語「pastry」の発音揺れなので、表記が違っても同じものを指しています。
「ペストリー」という言葉は生地そのものを指す場合と、焼き上がった食べ物全体を指す場合の2つの用法があります。つまり「ペストリー生地を使ってパイを作る」という文脈では生地を、「パン屋でペストリーを買う」という文脈では製品を指すわけです。2つの意味があると覚えておけばOKです。
コトバンクなど国内の辞書では「①パン生地に油脂を多く加えパイ状に焼き上げたもの、②練り粉を用いた菓子の総称(パイ・タルトなど)」と整理されています。意外と広い範囲をカバーする言葉だということがわかります。
コトバンク:複数の辞書によるペストリーの意味・解説(デジタル大辞泉・世界の料理辞典・栄養・生化学辞典)
「ペストリー」と「パティスリー」は同じ概念を別の言語で表しています。パティスリー(pâtisserie)はフランス語で、英語にすればペストリー(pastry)です。つまり言語の違いだけで、指しているものの本質は共通しています。
ただし、日本での使われ方には微妙なニュアンスの差があります。「パティスリー」はフランス菓子の職人文化を背景にした高級感・専門性のある言葉として使われることが多く、一方「ペストリー」はより広い焼き菓子ジャンル全般を指す場合が多い傾向にあります。
「パティシエ」という職名はフランス語で、英語ではペストリーシェフ(pastry chef)と呼びます。ホテルの厨房では「ペストリー部門」という名称が使われることが多く、デザートやケーキ作りを担当するプロのことをペストリーシェフと呼ぶわけです。これは知っているとお得な豆知識ですね。
13〜14世紀のフランスでパティスリーという言葉が成立したとされており、歴史は非常に古いです。当初は「粉を用いて作った生地をオーブンで焼いた菓子」全般を意味していました。それが時代とともに専門化し、今日のケーキ屋(パティスリー)という店舗の意味も持つようになっています。
パティスリー・ルナールブログ:パティスリーの語源と歴史、パティシエとパティシエールの違いについて
ペストリーにはいくつかの代表的な種類があり、それぞれ製法や食感が大きく異なります。種類を知っておくと、パン屋やカフェで注文するときに迷わなくなります。
代表的なペストリーの種類と特徴を整理すると、以下のようになります。
| 種類 | 特徴 | 代表的な食べ物 |
|---|---|---|
| パフペストリー | 何層にも折り重なりサクサク。油分が多い | アップルパイ・ミルフィーユ |
| ショートクラストペストリー | 折りたたまず作るシンプル生地。サクッと軽め | 食事系タルト・キッシュ |
| フレーキーペストリー | クッキーとパイの中間。バターが効いた食感 | スコーン系・パイ系菓子 |
| デニッシュペストリー | イーストで発酵させたパン生地にバターを折り込む | デニッシュパン・クロワッサン系 |
| シューペストリー | 非常に軽く中にクリームを詰める | シュークリーム・プロフィットロール |
| セイボリーペストリー | 甘くない塩味の惣菜系ペストリー | ミートパイ・キッシュ |
特に混同しやすいのがデニッシュとクロワッサンとパイの3つです。3つともバターを折り込む点は共通していますが、大きな違いはイースト菌で発酵させるかどうかです。デニッシュとクロワッサンはイーストで発酵させる「パン」の仲間で、パイは発酵させないため「お菓子(ペストリー)」に分類されます。
さらに細かく言うと、デニッシュには砂糖と卵を使うのに対し、クロワッサンには卵を使わないという違いもあります。パイには砂糖が入らないのが原則です。つまりデニッシュのみが卵を加えているということですね。
クロワッサンはフランス語で「三日月」という意味で、発祥は17世紀のオーストリアです。トルコ軍を撃退した記念に、トルコ軍の旗印である三日月を模したパンを焼いたことが起源といわれています。マリー・アントワネットがフランスへ嫁いだことがきっかけでフランスに伝わったというエピソードも有名で、歴史の深さを感じます。
ペストリーがサクサクとした食感を持つ理由は、バターなどの油脂をたっぷり使っているからです。これは味のおいしさにつながる一方、カロリーや脂質の面でも注意が必要です。
バターは100gあたり約700kcalと、食品の中でもカロリーが非常に高い部類です。しかし正確に言うと、1回のペストリー1個に使われる油脂量は多くの場合10〜20g程度なので、実際の摂取カロリーはパイ1切れで200〜350kcal前後、デニッシュ1個で200〜300kcalほどになります。これはコンビニのおにぎり1〜2個分に相当します。
脂質の観点では、バターに含まれる飽和脂肪酸が約7割を占めており、摂り過ぎると血中コレステロールの増加につながる可能性があります。厳しいところですね。ただし、1日の脂質摂取目安は成人で40〜60gとされており、1つのペストリーを食べてすぐ健康被害が出るわけではありません。1日のトータルバランスで考えることが大切です。
サイゼリヤのデザートを食べる際にも、こうした知識が役立ちます。たとえばサイゼリヤの人気デザート「ティラミス クラシコ」(税込300円)はマスカルポーネチーズを使ったクリーム系のため、1個あたり200〜250kcal程度と比較的控えめです。一方、フォッカチョのようなパン生地を使ったメニューはペストリー系に近い製法で作られているため、カロリーが高くなります。
健康が気になる場面では、デザートの種類を「クリーム系かパイ系か」で選ぶという視点を持っておくと、無理なくカロリーコントロールができます。サイゼリヤのデザートで低カロリーを意識するなら「ミルクジェラート」が最もカロリーが低い選択肢です。脂質が気になるなら、ペストリー系よりもジェラート・プリン系を選ぶのが原則です。
サイゼリヤは「安くてボリューミーなパスタの店」というイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし実は、本場イタリアから直輸入したデザートを低価格で提供していることでも知られています。
その中でも注目なのが期間限定で登場した「プロフィットロール」(税込350円)です。プロフィットロールとはシュー生地にクリームを詰め、チョコレートソースをかけたフランス・イタリア由来の伝統的なデザートで、まさに「シューペストリー」の代表格といえます。シュークリームにチョコソースをかけたようなビジュアルで、実食した人からは「チョコが濃厚でおいしい」と好評でした。これは使えそうです。
「プロフィットロール」という名前を初めて聞いた人は多いはずですが、要は「シューペストリー×チョコレートソース」の組み合わせです。ペストリーの知識があれば、メニュー名を見ただけで「どんな食感の食べ物か」がすぐにイメージできるようになります。
また、ずっと定番として愛されている「ティラミス クラシコ」(税込300円)は、イタリア・ピエモンテ州のデザートメーカーと共同開発し直輸入しているほんもののイタリア菓子です。1989年からサイゼリヤのデザートメニューに登場した歴史ある一品で、イタリア産マスカルポーネと「サボイアルディ」と呼ばれるフィンガービスケットを使用しています。
サイゼリヤのデザートの多くが「イタリア直輸入」というこだわりを持っている点は、ペストリーを含む本場の洋菓子文化をそのまま味わえるという意味で非常に価値があります。300〜350円という価格で本場イタリアのデザートを食べられるというのは、コスパとしてかなり高い水準です。
サイゼリヤレポート:プロフィットロールの実食レビュー。シュー生地の食感・チョコレートソースの詳細
サイゼリヤ公式:ティラミス クラシコの詳細・こだわりの製法と直輸入の背景
ペストリーの知識が深まると、「これはパンか、お菓子か」という素朴な疑問に答えられるようになります。日本でよく見かけるクロワッサンは、厳密にはペストリーではなくパンの一種です。
その理由はシンプルで、クロワッサンにはイースト菌(酵母)が使われていて発酵工程があるためです。発酵してふくらんだ生地はパン生地であり、油脂を折り込んでいてもパンに分類されます。一方、イーストを使わずに油脂と小麦粉だけで作るパイ生地は純粋なペストリーです。つまり「イースト菌があればパン、なければペストリー」が基本的な判断基準になります。
デニッシュも同様で、イーストを使っているのでパンの仲間です。ただし英語ではデニッシュを「Danish pastry(デニッシュペストリー)」と呼ぶため、「ペストリー」という言葉が名前に入っているにもかかわらず厳密にはパンです。意外ですね。
これはイギリス英語とアメリカ英語でも若干扱いが異なることがあり、「ペストリー」という単語の範囲が文化によって変わることも覚えておくと役立ちます。たとえばアメリカのスターバックスでは「パストリー?」と食べ物のサイドメニューを勧められることがあり、これはデニッシュやマフィンなどの焼き菓子全般を指しています。
また、シューペストリーはほかのペストリーと製法がかなり異なります。バターを折り込む工程がなく、生地を高温で焼くと水蒸気で自然に膨らむ仕組みです。チーズやツナを詰めればアペタイザーにもなるという点も、「ペストリーには甘くないものもある」という事実を裏付けています。
ペストリーを知ると、パン屋やカフェのメニュー名がスムーズに読み解けるようになり、食べたことがないものでも「どんな食感・素材か」が推測できます。サイゼリヤのメニューで「見慣れない名前のデザート」に出会ったときも、ペストリーの知識があれば注文の判断がずっとしやすくなるでしょう。結論は、知識があれば食事がもっと楽しくなるということです。
Wikipedia(ペイストリー):ペストリーの歴史・種類・パティシエに関する包括的な解説

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