薄力粉だけで作ったストロッツァプレーティは、もちもち感が半減します。
「ストロッツァプレーティ(Strozzapreti)」という名前は、イタリア語で「牧師の首を絞める」という意味を持ちます。パスタに物騒な名前がついているのにはいくつかの説があります。もっとも有名な説は、「あまりに美味しくて食べすぎた牧師が喉を詰まらせた」というものです。もう一つは、中世のエミリア=ロマーニャ州で地主から食事を振る舞われた際に農民の妻が「牧師が食べすぎて喉を詰まらせてしまえばいいのに」とつぶやきながら作ったというものです。
このパスタの発祥地は、イタリア北部のエミリア=ロマーニャ州とされています。ボロネーゼ発祥の地としても知られるこの州は、「手打ちパスタの聖地」とも呼ばれ、タリアテッレやトルテッリーニなど多くの名作パスタを生み出してきました。その中でもストロッツァプレーティは、特別な器具を必要とせず手のひらだけで成形できる庶民のパスタとして、長年愛されてきた定番メニューです。
形状の特徴は、くるりとよじれた筒状のねじりにあります。長さは約5〜10cm(葉書の横幅の半分程度)で、このねじりによって表面にソースが絡みやすい複雑な溝が生まれます。日本ではサイゼリヤのメニューなどを通じてその名が広まり、サイゼリヤ好きなら一度は「自分で作ってみたい!」と思うパスタです。つまり、名前の意味を知っておくと話のネタになるということです。
参考:ストロッツァプレーティの特徴・美味しい食べ方について(ボ~ノ・イタリア~ノ)
https://food-mania.jp/italian-strozzapreti/
生地の粉選びが、完成したパスタの食感を大きく左右します。これが基本です。
市販の薄力粉だけで作ることは可能ですが、タンパク質含有量が低いため、どうしても生地のコシが弱くなりがちです。イタリアで本場のストロッツァプレーティに使われる「00粉(ゼロゼロ粉)」は、グルテンの質が高く弾力のあるもちもちとした食感を生み出します。一方、デュラム小麦を粗挽きにした「セモリナ粉」を使うと、さらにコシが強く黄みがかった食感に仕上がります。
| 粉の種類 | 食感の特徴 | 入手しやすさ |
|---|---|---|
| 薄力粉 | 柔らかめ・コシ弱め | ⭐⭐⭐(スーパーで購入可) |
| 中力粉 | 適度なコシ・バランス型 | ⭐⭐(一部スーパーで購入可) |
| 強力粉 | コシ強め・やや硬め | ⭐⭐⭐(スーパーで購入可) |
| 00粉(イタリア産) | もちもち・弾力◎ | ⭐(製菓材料店・通販) |
| デュラムセモリナ粉 | 歯ごたえ強・黄色がかった色 | ⭐(製菓材料店・通販) |
初めて作る場合は薄力粉200gに対し水100cc・塩2gで問題ありません。もう一段階もちもち感を出したい場合は、薄力粉と強力粉を1:1で混ぜるか、強力粉だけで仕込むと食感がグッと変わります。卵白を少量(1個分)加えると、プルンとした弾力がプラスされるのでおすすめです。
水分の量は天候・湿度によっても変わります。生地をまとめる際にパサつく場合は、霧吹きで少しずつ水を足すのがポイントです。反対に、べたつく場合は打ち粉を多めに振りましょう。耳たぶくらいの柔らかさになれば、生地の仕上がりとしては合格です。
参考:セモリナ粉・00粉の特徴と手打ちパスタへの活用法(富澤商店)
https://tomiz.com/column/semolina_pasta/
生地を休ませることが成形の成否を分けます。
生地を作ったら、必ずラップに包んで常温で30分以上寝かせてください。この工程でグルテンが落ち着き、生地が滑らかになって伸ばしやすくなります。急いで省略すると、生地が縮んで成形しにくくなるため、時間を確保するのが大切です。
寝かせた生地は麺棒で厚さ約2〜3mmに伸ばします。厚さ2mmはハガキ1枚分の厚さをイメージするとわかりやすいでしょう。そこから包丁やパスタカッターで幅約2cmの短冊状に切り出します。
次がストロッツァプレーティの核心となる成形工程です。
ひねる強さが弱すぎるとソースが絡みにくくなり、強すぎると茹でた際に生地が割れることがあります。軽く引っ張りながら均一にひねるのが理想的です。成形後は10〜15分ほど自然乾燥させると、茹でる際に形が崩れにくくなります。これは必須です。
茹ですぎはパスタが溶ける原因になります。注意が必要です。
茹でる際は、大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、1%程度の塩(水1リットルに対して塩10g)を加えます。ここへ成形したストロッツァプレーティを入れ、浮き上がってくるまで待ちます。浮き上がった後、さらに2〜3分茹でれば完成です。
乾麺タイプのストロッツァプレーティの場合、茹で時間の目安は3分半〜4分ですが、手打ちの場合は生地の厚みやひねりの状態によって異なります。AllAboutのレシピでは5〜7分が目安とされていますが、実際には2〜3分で様子を確認しながら進めるのが安全です。1本取り出して断面を確認し、白い芯が残っていなければ茹で上がりのサインです。
茹で汁には塩分と小麦のデンプンが溶け出しており、ソースとの乳化に役立ちます。パスタを引き上げる前にお玉1〜2杯分の茹で汁を取り置いておくと、後でソースの濃度調整に使えます。これは使えるテクニックです。
茹で上がったらすぐにソースと和えるのが原則です。水気を切ったパスタをそのまま放置すると、くっつきやすくなってしまいます。
参考:パスタのおいしい茹で方と基本(日本パスタ協会)
https://www.pasta.or.jp/knowledge/boil
ストロッツァプレーティは、ロングパスタより「絡み重視のソース」との相性が格段に良いパスタです。
ねじれた形状によって表面積が広くなり、ソースが溝に入り込みやすい構造になっています。そのため、サラサラとした油系ソースよりも、濃厚なトマトソース・ラグー(ミートソース)・クリームソースのように「しっかり絡む」ソースが向いています。
サイゼリヤ好きな人が「あの味に近づきたい」と思うなら、ボロネーゼ系のラグーソースがもっともイメージに近い組み合わせです。ひき肉(牛・豚合い挽き各150g程度)・玉ねぎ・セロリ・にんじん・完熟トマト缶を使い、最低でも30分以上弱火で煮込むことで本格的な旨みが生まれます。
仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノ(またはグラナ・パダーノ)をたっぷり削りかけると、風味が一段階上がります。これだけでお店の味に近づけます。
参考:ストロッツァプレーティとバルサミコ風味のアマトリチャーナソースのレッスン(コトコトパスタ)
https://www.kotokotopasta.com/class/labo/lab2020-01.html