ツヴァイゲルトは「赤ワインにしては軽すぎる」と思うと、サイゼリアで1,000円以上の損をします。
ツヴァイゲルトは、1922年にオーストリアのクロスターノイブルク栽培醸造学校のフリードリッヒ・ツヴァイゲルト教授によって生み出されました。親品種は2つあり、スパイシーで骨格の強い「ブラウフレンキッシュ」と、チェリーのような溌剌とした果実味を持つ「ザンクト・ラウレント(サン・ローラン)」の交配です。両方の"いいとこどり"を狙って開発されたのが、このツヴァイゲルトという品種です。
誕生当初、この品種は「ロートブルガー」という名前で呼ばれていました。後に開発者であるツヴァイゲルト教授への敬意を表してツヴァイゲルトと改称されましたが、実はこの改名には一筋縄ではいかない経緯があります。ツヴァイゲルト教授がナチ党員だったため、品種名にその名を冠することに異議が唱えられた時期もあり、現在も議論が続いているとされています。
日本では「ツヴァイゲルトレーベ」という名前でも呼ばれます。これはドイツ語の「Rebe(レーベ)=ブドウの木・ブドウ品種」という語がつながったもので、チェコや日本など苗木が導入された国で通称として定着しました。つまりツヴァイゲルトとツヴァイゲルトレーベは同じ品種です。
ちなみに日本へのツヴァイゲルト導入は1970年。北海道ワインがオーストリアのクロスターノイブルク修道院から苗木を取り寄せたことが始まりです。それから約50年以上を経て、現在は国内産ワイン用ブドウ全体のうち北海道で作られるツヴァイゲルトが全体の約1.1%を占めるまでに広がっています。小さな数字に見えますが、北海道の黒ブドウ品種の中では堂々たる主力品種として根付いています。
ツヴァイゲルトの品種特性・産地・ワインスタイルを詳しく解説(アカデミー・デュ・ヴァン)
ツヴァイゲルトのワインは、一言で言うと「親しみやすさと奥行きの両立」が魅力です。ではその具体的な特徴を整理してみましょう。
まず外観ですが、若いうちは紫がかった鮮やかなルビーレッドで、明るく艶のある色調が特徴です。熟度の高いブドウを使ったものは、ガーネットのような深い色合いになります。
香りについては、フレッシュなさくらんぼ(チェリー)やラズベリー、ブラックベリーなど、赤系から黒系の果実が重なるように感じられます。そこにバラやスミレのような花のニュアンスが加わり、ローリエや黒胡椒、クローヴといったスパイスのアクセントが乗ります。これはツヴァイゲルトのトレードマークとも言えるスパイス感で、親品種のブラウフレンキッシュから受け継いだ個性です。樽熟成が施されたものには、バニラやローストの香りが加わり、さらに複雑な印象になります。
味わいの核心はここです。タンニンが穏やかでシルキーな口あたり、そして酸味が中程度というバランスの良さが、ツヴァイゲルトを「飲みやすい赤ワイン」に仕立てています。重くなりすぎず、かといって薄くもない。このちょうどよさが、日常的なテーブルワインとして世界で重宝される理由です。
ボディは軽口からフルボディまで幅があります。早飲み向けのフレッシュタイプは軽快でスリムな印象。一方、収量を抑えた単一畑のブドウから造られたもの、あるいは樽熟成を経たものはフルボディで、数年から10年以上の熟成ポテンシャルを持つものもあります。結論は「産地と造り手によってスタイルが大きく変わる品種」ということです。