サイゼリヤのパスタやピザにかけるあの粉チーズ(グランモラビア)が2023年7月から100円の有料トッピングに変わったのに、アジアゴチーズ100gのタンパク質量は牛ヒレ肉より多いです。
アジアゴチーズ(Asiago)は、イタリア共和国ヴェネト州ヴィチェンツァ県にある「アジアゴ」という小さな高原の町を発祥とするセミハードタイプのチーズです。その起源は10世紀頃まで遡り、当初は羊の乳を使って作られていました。16世紀頃から牛の飼育が広まり、現在では牛乳100%で造られる形がスタンダードになっています。
標高1,000mを超えるアジアゴ高原は、冬にはマイナス30℃にもなるイタリアで最も寒い地域のひとつ。この厳しい気候環境がミルクの質を高め、独特の風味を生み出す土台となっています。
アジアゴチーズはDOP(Denominazione di Origine Protetta=原産地名称保護制度)の認定を受けており、定められた生産地域内で造られたもののみがこの名称を使用できます。生産エリアはヴェネト州とトレンティーノ=アルト・アディジェ州の一部に限定されていて、厳しい品質管理のもとで作られます。つまり、どこでも造れるチーズではありません。
世界の全DOPチーズの中で生産量第6位という実績を誇り、イタリア国内ではパルミジャーノ・レッジャーノやモッツァレラと並ぶ代表的なチーズとして広く認知されています。日本ではまだ知名度がやや低いですが、本場イタリアでは家庭の食卓に普通に登場するほど身近な存在です。
サイゼリヤが長年提供してきた粉チーズ「グランモラビア」はアジアゴとは別のチーズですが、同じイタリアのヴェネト系の文化圏で育まれた食材に触れられる機会として、サイゼリヤはイタリアチーズへの入り口にもなってきました。アジアゴを知ることは、そのイタリア食文化をより深く楽しむことに直結します。
参考情報:アジアゴチーズの産地・歴史・DOPについての詳細はこちらで確認できます。
アジアーゴ・チーズ(Asiago formaggio)の解説 – オンラインイタリア語学習サイト
アジアゴチーズの一番の特徴は、熟成期間によって同じチーズとは思えないほど味が変わるという点です。大きく「アジアゴ・プレッサート(フレスコ)」と「アジアゴ・ダッレーヴォ(スタジオナート)」の2系統に分けられます。
まずフレスコ(プレッサート)は、牛の全乳を使い20〜40日という短い熟成で仕上げたタイプです。色は白〜淡いクリーム色で、弾力のあるもっちりとした食感と、ほんのりとした甘みが特徴。マイルドで食べやすいです。初めてアジアゴに挑戦するなら、このタイプから試すのがおすすめです。
一方のダッレーヴォは脱脂乳を使って長期熟成させたタイプで、さらに3段階に分かれます。
- メッザーノ(Mezzano):熟成4〜6ヶ月。適度なコクと少し締まった食感で、バランスが良くクセもない。
- ヴェッキオ(Vecchio):熟成10ヶ月前後。塩気と旨味が凝縮され、ほのかなナッツのような香ばしさが出てくる。
- ストラヴェッキオ(Stravecchio):熟成2年以上。ピリッとした刺激と深いコクが際立ち、パルミジャーノ・レッジャーノに近い使い方もできる。
熟成が進むにつれて脂肪分は落ち、旨味成分はより凝縮されます。これが基本です。ヴェッキオなら薄くスライスしてそのままワインのおつまみに、ストラヴェッキオなら削ってパスタやサラダにかけるという使い分けが定番です。
チーズひとつでここまで多彩な楽しみ方があるとは、意外ですね。サイゼリヤのパスタに合いそうな粉チーズ的な使い方をしたい場合は、熟成が長めのヴェッキオやストラヴェッキオタイプを削って使うと雰囲気が近くなります。
アジアゴチーズは「太りやすい食品」と思われがちですが、実は栄養の密度がとても高いチーズです。100gあたりのタンパク質含有量はフレスコタイプで約24%(24g)に達し、これは牛ヒレ肉100gの約20%(20g)を上回ります。タンパク質が豊富ということです。
また、カルシウム含有量は100gあたり約800mgと非常に高く、牛乳1杯(200ml)に含まれるカルシウムのおよそ4倍に相当します。骨粗しょう症予防を意識している方や、乳製品からカルシウムを効率よく摂りたい方に向いています。
乳糖不耐症の方も安心できるポイントがあります。チーズの製造過程でホエイとともに乳糖の大部分が排出されるため、牛乳と比べると乳糖量は4分の1〜5分の1程度しか含まれません。特にダッレーヴォ(熟成タイプ)は、熟成中に乳酸菌が残存する乳糖をさらに分解するため、より消化しやすくなっています。
さらに、血圧を下げる効果が期待される「生理活性ペプチド」が豊富に含まれているという研究も報告されています。これは意外な健康メリットです。熟成タイプのダッレーヴォには脂肪分が脱脂乳ベースのため一般的なハードチーズ(乳脂肪率45%前後)より低く、フレスコタイプの乳脂肪率は最低44%に対して、ダッレーヴォは最低34%となっています。肥満予防の観点でも、熟成タイプを選ぶのが条件です。
サイゼリヤのパスタや料理にトッピングするチーズをアジアゴの熟成タイプに変えるだけで、カロリーを抑えながら旨味と栄養をプラスできる。これは使えそうです。
参考情報:チーズと乳糖・栄養についての解説はこちら。
サイゼリヤのメニューをおうちで再現・アレンジするとき、アジアゴチーズを使うと一気に本格的な味わいに近づけます。ここでは熟成タイプ別に、具体的な活用シーンをご紹介します。
フレスコタイプ(20〜40日熟成)の使い方として最もおすすめなのはグラタンやドリア系への活用です。アジアゴフレスコは加熱するとよく溶けて伸びがよく、クセがないため、サイゼリヤのミラノ風ドリアを自宅で再現する際のとろけるチーズとして最適です。スライスして食材に乗せてオーブンで焼くだけで、ミルキーで軽やかなグラタンが完成します。これは試してみる価値があります。
メッザーノ(4〜6ヶ月熟成)の使い方はパニーニやサラダへのトッピングが向いています。適度なコクと食べやすい固さがあるため、サイゼリヤのオリーブオイルとブラックペッパーのシンプルサラダに削って加えると、バランスよく風味がアップします。
ヴェッキオ(10ヶ月以上熟成)の使い方はパスタや粉チーズ代わりとして活躍します。このタイプを削ってペペロンチーノやアラビアータにかけると、旨味と塩気がソースとからまって深みが増します。サイゼリヤで有料になった粉チーズの代替として、家庭でアジアゴヴェッキオを削りかけるのは最もコスパが高い使い方のひとつです。
ワインとのペアリングも楽しめます。フレスコには爽やかな白ワインやプロセッコ(スパークリング)、ヴェッキオには果実味のある赤ワイン(キャンティや軽めのバルベーラ)が合います。サイゼリヤのデキャンタワインと組み合わせるイメージで選ぶと失敗しにくいです。
日本では主要な通販サイト(楽天・Amazon・チーズ専門店など)でアジアゴを購入できます。フレスコタイプで100gあたり約1,300円前後が目安で、チーズ専門通販の「フェルミエ」や「フィオール・ディ・マーゾ(カ・フォルム公式)」などで本場のDOP認定品が手に入ります。
アジアゴDOPの購入はこちらが参考になります。
アジアーゴ・フレスコ DOP 通販 – カ・フォルム公式サイト「フィオール・ディ・マーゾ」
せっかく購入したアジアゴチーズを最後まで美味しく使い切るためには、保存方法をきちんと押さえておくことが大切です。チーズは生き物に近い食品で、保存環境によって風味が大きく変わります。
基本の保存方法は「冷蔵・密封・4℃前後」が原則です。開封後はラップでしっかり包み、さらに密閉袋または密閉容器に入れて冷蔵庫のチルド室か野菜室で保管します。冷凍すると長期保存は可能ですが、解凍後に食感がもろくなり、溶けにくくなる場合があるため、調理用(削ってかける用途)に限定するのが賢明です。
フレスコタイプは水分が多く傷みやすいため、開封後は3〜5日程度を目安に使い切ることを意識してください。ヴェッキオやストラヴェッキオのような長期熟成タイプは水分が少なく、開封後も正しく保存すれば2〜3週間は問題ありません。使い切れる量かを確認するのが条件です。
使い切りのアイデアとして、サイゼリヤ好きにぴったりな活用法が2つあります。ひとつは「残り野菜のアジアゴグラタン」で、冷蔵庫の余り野菜(じゃがいも・ほうれん草・玉ねぎなど)にアジアゴフレスコを乗せてオーブントースターで焼くだけという簡単レシピです。もうひとつは「アジアゴの粉チーズ代用」で、ヴェッキオをミルを使って削りおきし、小瓶に保存しておけばパスタにかけるたびに本格的なイタリアンが楽しめます。
チーズの表面に少し白いカビが生えてしまった場合でも、その部分を1〜2cm程度多めに切り落とせば残りは食べられることが多いです。ただし、内部まで変色していたり、異臭がある場合は使用しないようにしてください。チーズにとって適切な管理が一番の節約につながります。
| タイプ | 熟成期間 | 保存目安(開封後) | おすすめの用途 |
|---|---|---|---|
| フレスコ | 20〜40日 | 3〜5日 | グラタン・ドリア・パニーニ |
| メッザーノ | 4〜6ヶ月 | 1週間前後 | サラダ・スライスでそのまま |
| ヴェッキオ | 10ヶ月以上 | 2〜3週間 | パスタにかける・ワインのおつまみ |
| ストラヴェッキオ | 2年以上 | 1ヶ月程度 | 削ってかける・スープ・リゾット |