プロセッコはシャンパンより本数で世界1位なのに、価格は3分の1以下で買えます。
コンソルツィオ(Consorzio)はイタリア語で「組合・コンソーシアム」を意味し、コンソルツィオ プロセッコ DOCとは正式名称「Consorzio di Tutela del Prosecco DOC(プロセッコDOC保護協会)」のことを指します。2009年7月17日にイタリア・ヴェネト州トレヴィーゾに設立され、現在はブドウ栽培農家12,107軒、一次発酵ワイナリー1,046軒、二次発酵スパークリングワイナリー362軒が加盟する巨大な生産者団体です。
この数字は想像以上の規模感があります。農家の数だけで言えば、東京ドームの収容人数(約55,000人)の約5分の1にあたるほど多くの生産者がこの協会の傘下に入っています。
つまりコンソルツィオがある、ということですね。
協会の主な役割は大きく3つです。1つ目は品質維持と規格管理、2つ目はプロセッコDOCの世界的な普及プロモーション、3つ目はサステナビリティ(環境・社会・経済への持続可能な貢献)の推進です。農薬3種類(Mancozeb・Folpet・Glyphosate)の使用禁止を含む生産規制の改正を主導したのもこの協会で、単なるブランド管理団体を超えた存在となっています。
コンソルツィオが2017年から日本向けプロモーションを組織的に展開しており、現在の対日輸出量は年間300万本(2022年実績)に達しています。サイゼリヤのような本格イタリア料理を愛する人にとって、プロセッコDOCを知ることはイタリアの食文化に触れる入口になります。
プロセッコ DOC保護協会(公式)への参考リンク。
プロセッコDOC保護協会(日本公式サイト)|協会の成り立ちや生産者情報を日本語で確認できます
プロセッコDOCを選ぶ際に知っておきたいのが格付けの体系です。DOCとDOCGという2つの分類がありますが、この違いを把握しているだけで買い物の失敗が格段に減ります。
まず基盤となるのが「プロセッコDOC(統制原産地呼称)」で、ヴェネト州9県とフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州にまたがる広い産地が対象です。日本で1,000〜2,500円程度で流通している多くのプロセッコはこのカテゴリーに属します。これが原則です。
その上位に位置するのが「プロセッコDOCG(統制保証原産地呼称)」で、コネリアーノとヴァルドッビアデネを中心とした丘陵エリアに限定されます。2009年にイタリア44番目のDOCGとして認定されたこのカテゴリーは、市場価格で2,500〜5,000円前後のボトルが中心です。
さらにDOCGの中の頂点が「カルティッツェ(Cartizze)」と呼ばれるエリアです。ヴァルドッビアデネの中でも日当たりと寒暖差に恵まれた全体のわずか約107ヘクタール(東京ドーム約23個分の面積)に限定されており、プロセッコの最高峰として別格の扱いを受けています。
これは使えそうです。
| 格付け | 産地 | 価格帯目安 |
|--------|------|-----------|
| プロセッコ DOC | ヴェネト州9県・フリウリ州 | 1,000〜2,500円 |
| コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ DOCG | 丘陵部限定エリア | 2,500〜5,000円 |
| カルティッツェ DOCG | 最高峰の107ha | 5,000円〜 |
本物の認証済みプロセッコかどうかを見分けるには、ラベルだけでなくボトルの栓(キャップ部分)に貼られた政府の品質シールを確認する方法が確実です。このシールがあることで、コンソルツィオが定めた産地規定・製法規定をすべてクリアしたボトルだと一目でわかります。
コスパ抜群!プロセッコDOC/DOCGの格付けを解説(WSommelier)|格付けの違いや選び方を詳しく解説しています
「プロセッコはシャンパンのお手頃版でしょ?」と思っている人は多いですが、実は造り方が根本的に違います。製法の差を知ることで、プロセッコの魅力がより鮮明に見えてきます。
シャンパンは「伝統的瓶内二次発酵」と呼ばれる製法を使います。1本1本のボトルの中で二次発酵を行い、最短でも15ヶ月以上(ノンヴィンテージの場合)の長期熟成を経て出荷されます。その熟成中に酵母が分解されてワインに溶け込み、パンのような複雑な風味が生まれます。この手間とコストがシャンパンの価格を押し上げる理由です。
一方のプロセッコDOCの多くは「シャルマ方式(タンク内二次発酵)」を採用しています。大きなステンレスタンクの中でまとめて二次発酵を行い、製造から出荷まで数週間〜3ヶ月程度で完結します。同じ設備を1年に何度も使い回せるため、コストが大幅に下がります。
シャルマ方式が条件です。
この短い製造期間がプロセッコの「フレッシュな果実感」を生みます。グレラというブドウ品種のリンゴ・柑橘・白い花のような香りがピュアに残り、軽やかでバチバチっとした弾ける泡感が特徴となります。アルコール度数は11%前後と一般的なスパークリングワインよりやや低く、食事中でも飲み疲れしません。
実際の数字で比べてみましょう。シャンパンの年間生産量は約3億本。プロセッコDOCは2022年に6億3,850万本を記録しており、本数ベースでシャンパンの約2倍を誇ります。にもかかわらず価格帯は1,000〜2,500円が主流。シャンパンの一般的な価格帯(3,000〜5,000円以上)と比べると、いかにコストパフォーマンスが高いかがわかります。
プロセッコとは 世界一多く飲まれるスパークリングワイン(cocos.co.jp)|製法の詳細・シャンパンとの違いをわかりやすく解説
2020年秋に初出荷を迎えたプロセッコDOCロゼは、コンソルツィオが承認した比較的新しいカテゴリーです。見た目の鮮やかな淡いピンク色が話題ですが、中身にもしっかりした規定があります。
プロセッコDOCロゼに使用できる品種は、グレラ(主体)とピノ・ネロ(ピノ・ノワール)の2種類のみです。ピノ・ネロのブレンド比率は10〜15%という厳密な規定があり、ほとんどの生産者がグレラ85%・ピノ・ネロ15%の比率を採用しています。
意外ですね。
さらに製造面でも通常のプロセッコDOCとの違いがあります。二次発酵(スパークリング化)の期間を「最低60日以上」とすることが義務付けられており、これにより通常のプロセッコDOCよりも泡のきめ細やかさと持続性が増します。
プロセッコDOCロゼはスプマンテタイプのみの製造で、甘辛区分はブリュット・ナチュレからエクストラ・ドライまでの辛口系に限定されています。甘口は認められていません。
サイゼリヤでイタリア料理を楽しむ際、生ハムやモッツァレラチーズのような前菜系メニューとプロセッコDOCロゼの組み合わせは特に相性が良いです。淡いピンク色がテーブルを華やかにしてくれる点でも、食事の場を盛り上げるアイテムとして活用できます。市販では1,800〜3,000円前後の価格帯で手に入ります。
プロセッコDOCロゼが認可、2021年から流通(Wine Report)|ロゼ認可の詳細ルールと品種規定を解説しています
サイゼリヤが愛される理由の一つは「本格イタリア料理をリーズナブルに楽しめること」です。同じ発想でプロセッコDOCを活用すると、自宅やお店でのイタリア体験がぐっと広がります。
イタリアではディナーの前の時間を「アペリティーボ」と呼び、プロセッコDOCを片手に軽いおつまみを楽しむ文化が根付いています。サイゼリヤでこれを再現するなら、ランブルスコセッコ(サイゼリヤの赤の微発泡)のかわりに、市販のプロセッコDOCを持参せず、店内のドリンクメニューを活用しつつ、前菜の頼み方を工夫する方法があります。
| サイゼリヤのメニュー | プロセッコ DOCとの相性 |
|-------------------|--------------------|
| 生ハムとバッファローモッツァレラ | ◎ 最高(フレッシュな泡が塩気を洗い流す) |
| エスカルゴのオーブン焼き | 〇 良い(ハーブ風味とフルーティ香りが調和) |
| 辛味チキン | △ 普通(辛さが泡の繊細さを消す場合も) |
| アラビアータ | 〇 良い(酸×酸の相乗効果) |
自宅でプロセッコDOCを楽しむ際は、飲む直前まで冷蔵庫でしっかり冷やすことが重要です。推奨温度は6〜8℃で、グラスはフルートグラス(細長いシャンパングラス)よりも少し広口のワイングラスを使うと、グレラ由来のフルーティな香りがより豊かに広がります。
いいことですね。
また、プロセッコDOCは「開けたら早めに飲み切る」のが基本です。シャルマ方式で造られた泡の持続性は短く、開栓後2日目以降は急速に炭酸が抜けていきます。1本750mlを1〜2人で飲み切るペースを想定しておきましょう。泡が命のワインだけ覚えておけばOKです。
市販の入手先としては、カルディコーヒーファーム・成城石井・輸入ワイン専門店などで1,500〜2,500円前後のプロセッコDOCが手に入ります。まずは「DOC」の表記とボトルの栓のシールを確認し、コンソルツィオが認定した正規品を選ぶことが品質を保証する唯一の方法です。
2022年の生産量は6億3850万本・対日輸出量300万本に(AND IT)|日本市場での最新プロセッコDOCの動向を把握できます