甘口ワインのアルコール度数は低いと思っている人が多いが、VDN製法のミュスカ甘口ワインは15〜17%にもなる。
ミュスカ(Muscat)は、日本でマスカットと呼ばれているブドウ品種と同じものです。フランスではミュスカ、イタリアではモスカート、スペインではモスカテル、ドイツではムスカテラーと呼ばれており、世界各地で栽培されています。原産地はギリシャとされており、数千年の歴史を持つ非常に古い品種です。
食用のマスカットと聞くと「甘くてジューシーなブドウ」というイメージがありますが、ワインとしても同じくフルーティーで香り高い仕上がりになります。とくに華やかなマスカットのアロマ、白い花、オレンジの花といった香りが特徴的です。
品種ごとに特徴が異なり、主なものは以下のとおりです。
甘口ワインが基本です。ただし、フランスのアルザス地方では同じミュスカ品種から辛口ワインが造られており、「ミュスカ=甘口のみ」というのは思い込みにすぎません。産地と製法によって味のスタイルは大きく変わります。
サイゼリヤを愛するワイン初心者にとって、「甘口ワイン=低アルコールで飲みやすい」というイメージは自然なことです。ところが後述するVDN製法によって造られたミュスカ系の甘口ワインは、アルコール度数が15〜17%にも達するものがあります。コップで気軽にごくごく飲むと、思わぬ酔い方をするリスクがあるので注意が必要です。
参考:ミュスカ品種の詳しい特徴と産地解説
「ミュスカ」を詳しく解説 - ワインリンク
ミュスカ系の甘口ワインを語るうえで欠かせないのが、VDN(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)という製法です。日本語では「天然甘口ワイン」と訳されます。名前だけ聞くと「自然でやさしい」印象を受けますが、これは甘さが自然由来であるという意味であって、アルコール度数が低いという意味ではありません。
仕組みはこうです。ブドウ果汁の発酵が途中の段階で、アルコール度数96%のスピリッツ(ブランデーなど)を添加します。これにより酵母が死んで発酵が止まります。その結果、糖分が残った状態でワインが完成するため、豊かな甘みが生まれます。つまり甘口になる理由が「もともと甘い」ではなく「途中で止めている」というところがポイントです。
VDN製法によるミュスカ甘口ワインの主な産地は以下のとおりです。
これらのVDN系ミュスカは開栓後でも1か月程度は風味を損なわず保存できます。通常の白ワインが開栓後2〜3日で劣化するのと比べると、保存性の高さは大きなメリットです。
飲み頃温度は8〜10℃が基本です。冷やすことで甘さが引き締まり、酸味とのバランスが整います。逆に常温に近づくにつれて香りが開き、はちみつのようなリッチな印象が増します。サイゼリヤで提供される甘口ワインは冷えた状態で出てくることが多く、まさに適温で味わえるのが嬉しいところです。
参考:VDN(天然甘口ワイン)の製法と特徴
サイゼリヤはイタリア料理をベースとしたレストランチェーンですが、ワインのラインナップは実は非常に充実しています。グラスワイン(120ml)は100〜300円台で楽しめ、契約ワイナリーから直接仕入れているため低価格でも品質が保たれているのが特徴です。
甘口ワインを目的にサイゼリヤへ行くなら、注目すべきメニューは次のとおりです。
ミュスカ・ド・リヴザルトのスタイル(VDN)はサイゼリヤの通常ラインナップには常時含まれていませんが、上記のラコンブリッコラはその味わいに非常に近いと評されています。「ミュスカ系の甘口を外食でプチ体験したい」という方には最良の入口です。
これは使えそうです。サイゼリヤの甘口ワインはすべてデザートにしか合わないと思われがちですが、実際は食前酒や食中酒としても十分に楽しめます。微発泡タイプなら最初の一杯として乾杯から活躍します。
注意しておきたいのは、甘口ワインはグラスに注がれるとアルコール度数が分かりにくいという点です。特にVDN系のものは15%超のものがありますので、「甘くて飲みやすいから」と連続して飲むと酔いが回りやすくなります。サイゼリヤのグラスワイン120mlでも、VDN系であれば純アルコール量は18ml前後になります。ビール(5%/350ml)1缶分の純アルコール量が17.5mlですから、ほぼ同量です。グラス1杯でビール1缶相当という目安は覚えておくと得です。
参考:サイゼリヤのワインとペアリングの詳細情報
サイゼリヤのコスパ最強ワイン ソムリエ田邉公一さんが選ぶ - SPUR
甘口ワインのペアリングというと「デザートに合わせるもの」というイメージが強いですね。しかし実際には、甘口ワインの種類によって合わせられる料理の幅は大きく異なります。これだけ覚えておけばOKです:「ワインよりも甘くないものに合わせる」という原則です。
サイゼリヤのメニューと合わせるなら、以下のような組み合わせが特に相性抜群です。
一点、気をつけてほしいのは「ワインが甘いからデザートとなんでも合う」と思い込まないことです。酸度が低くサッパリしたゼリーや水分の多いフルーツ系のデザートとは相性が悪く、ワインの味が単調になってしまいます。チーズ、バター、チョコレート、ナッツを使った脂肪分のあるスイーツとの組み合わせが圧倒的に相性がよいです。
ミュスカ甘口ワインをデザートと楽しむなら、温度管理も大切な要素です。飲む30分前には冷蔵庫から出してやや冷えた状態(8〜10℃)にしておくと、甘みと酸味のバランスが最良になります。サイゼリヤでは冷えた状態で提供されるため、そのままゆっくり味わっていると温度が上がってきて、香りの変化も楽しめます。
参考:甘口ワインのペアリングと選び方
デザートワインとは?6つの種類や楽しむためのポイント - Cave de Relax
サイゼリヤでワインを楽しむ人の中には「甘口ワインは太りそうだから少し不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。ここでは数字で整理しておきます。
一般的な辛口白ワイン(100ml)の糖質は約2.0g、カロリーは約75kcalです。それに対して甘口ワイン(100ml)は糖質が10〜13g以上になることもあり、デザートワインやVDNタイプになると100mlあたり糖質20g超のものも存在します。カロリーも100mlあたり130〜160kcal程度と、辛口の倍近くなることがあります。
痛いですね。ただし、甘口ワインはその甘みの強さゆえに一度に飲む量が自然と少なくなる傾向があります。デザートワインのグラスは75〜100mlが一般的な1杯量で、辛口の白ワインのグラス(120〜150ml)より少量です。
つまり正しい比較はこうなります。
1杯単位で見ればそれほど大きな差はないものの、甘口だからといってごくごく飲み続けると糖質もカロリーも一気に跳ね上がります。甘口ワインをサイゼリヤで楽しむ際には、「デザート感覚でゆっくり少量を味わう」スタイルが健康面でも理にかなっています。
また、甘口ワインに含まれる糖分は血糖値の上昇にも影響します。糖尿病や血糖値が気になる方は、量を控えることと、食後よりも食事中に少量をゆっくり飲む方法が推奨されています。
甘口が条件ですが、ランブルスコ・ドルチェなどの微発泡タイプは炭酸ガスが入っているぶんアルコールの吸収が若干速くなるという特性もあります。急いで飲まず、料理とゆっくり楽しむペースを守ることが、サイゼリヤ飲みを上手に楽しむコツです。
参考:ワインのカロリーと糖質の正確なデータ
ワインのカロリーと糖質は? - HOSPITALITY WINE
サイゼリヤでミュスカ系の甘口ワインに魅了されたあとに直面するのが、「家でも飲みたい」という欲求です。実はこれ、思っているよりずっと手軽に叶えられます。
市販のミュスカ甘口ワインで最もコスパが高いと評されているカテゴリは、イタリア産の「モスカート・ダスティ(アスティ)」です。サンテロ「天使のアスティ」などは2,000円以内で購入でき、低アルコール(5〜7%前後)、弱発泡、甘口という3拍子が揃っています。スーパーやコンビニでも手に入ることが多く、家飲みの入門としては最良の選択肢です。
一方で、よりミュスカ本来の濃厚な甘みを楽しみたい場合は、南フランスのVDNタイプを探してみましょう。「ミュスカ・ド・リヴザルト」や「ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ」は375mlのハーフボトルで2,000〜3,000円前後が相場です。小さいボトルは飲み切りやすく、VDNの保存性の高さ(開栓後1か月)もあって、週に数回楽しむ家飲みに向いています。
家でサイゼリヤ気分をより高めるには、料理との組み合わせも重要です。
ミュスカ甘口ワインとドライフルーツの組み合わせは、互いの風味が共鳴して非常に満足度が高い。コスパは高いです。ミュスカのアプリコット香とドライアプリコットの凝縮した甘みが重なり合い、デザートワインとしての魅力が増幅されます。
「まず市販でどれを買えばよいかわからない」という方は、エノテカやカーヴドリラックスなどのオンラインワインショップで「ミュスカ 甘口」と検索すると、レビュー付きで選びやすい商品が多く揃っています。ハーフボトルを1本購入してみることをおすすめします。
参考:ミュスカのおすすめワイン比較と選び方
ミュスカ(モスカテル)とは? - オーガニックワイン専門店マヴィ

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