アペロールを先に注ぐと、味が均一に混ざらず底にたまって最後の一口だけ濃くなります。
アペロールは、1919年にイタリア北部の街パドヴァで、ルイジ&シルビオのバルビエリ兄弟が7年間の開発を経て完成させたハーブリキュール(ビタースイート系)です。原料はオレンジ・ゲンチアナ・ルバーブ・キナの皮など複数の薬草・根茎類で、その配合は現在も秘密とされています。
鮮やかなオレンジ色と爽やかな甘みとほろ苦さが特徴で、アルコール度数はたったの11%。一般的なリキュールの多くが20〜40%であることを考えると、かなり低めの設計です。割り材で割ればグラス1杯あたり3〜8%程度まで下がるため、「お酒が強くない」という方でも楽しみやすい一本です。
イタリアではリキュール売上No.1を誇り、夕食前に食前酒(アペリティーヴォ)として飲まれます。サイゼリヤのメニューに並ぶ料理がイタリア家庭料理そのものであるように、アペロールもまたイタリアの日常の食卓に寄り添う存在です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 原産国 | イタリア(ヴェネト州パドヴァ) |
| 分類 | ビタースイート系リキュール |
| アルコール度数 | 11% |
| 主な原料 | オレンジ・ゲンチアナ・ルバーブ・キナ・ハーブ類 |
| 標準容量 | 700ml(市販品) |
| 参考価格 | 約1,600〜2,000円(通販・酒量販店) |
| カロリー | 約150kcal / 100ml(アペロール原液) |
よく比較されるカンパリとの違いも押さえておきましょう。カンパリはアルコール度数25%、苦みと薬草感が強い大人向けの味わいですが、アペロールはそれより甘みが際立ち、オレンジ風味が前に出ます。「カンパリはちょっとクセが強すぎる…」と感じた方こそ、アペロールで再挑戦する価値があります。
これが基本です。
アペロール公式サイト(日本語)|原料・歴史・よくある質問を確認できます
アペロールスプリッツは、国際バーテンダー協会(IBA)に公式認定されたカクテルで、世界共通の黄金比率が存在します。それが「プロセッコ3:アペロール2:ソーダ1」というシンプルなルールです。つまり問題ありません。
では、具体的な分量と手順を見ていきましょう。
| 材料 | 分量 | 役割 |
|---|---|---|
| プロセッコ(辛口スパークリングワイン) | 90ml | 爽快感・フレッシュな酸味 |
| アペロール | 60ml | オレンジの甘みとほろ苦さ |
| ソーダ水(炭酸水) | 30ml(ひと注ぎ) | 炭酸のキレを補強 |
| オレンジスライス | 1枚 | 香りと見た目 |
| 氷(大きめキューブ) | たっぷり | 冷却・希釈を最小化 |
【作り方・手順】
注ぐ順番が重要なのは、液体の比重が関係しています。アペロールはプロセッコより比重が重い(糖分が多い)ため、先に注ぐとグラスの底に沈んでしまい、最後の一口だけアペロールが濃縮されたような味になってしまいます。プロセッコを先に注ぐことで自然な対流が起き、かき混ぜなくてもほどよく混ざります。これが原則です。
氷のサイズも重要なポイントです。本場のヘッドバーテンダーも「大きくて透明度の高いキューブアイス」を推奨しています。クラッシュドアイス(かき氷状)は溶けが早く、30分ほどで味と炭酸が薄まりすぎてしまいます。コンビニで売っている大きめの氷や、製氷機で作った丸氷を使うのがおすすめです。
グラスはできればワイングラスを使いましょう。ワイングラスのボウル形状が炭酸の泡立ちを美しく見せ、香りも立ちやすくなります。タンブラーでも作れますが、見た目と飲み心地はワイングラスが圧倒的に上です。
カクテルログ|IBA公認レシピを含むアペロールカクテルの全レシピ一覧
「プロセッコが手に入らない」「もう少しリーズナブルに楽しみたい」という場面は必ずあります。実はプロセッコは国内の酒量販店やネット通販でも1本600〜1,200円程度で購入でき、比較的手頃です。ただ、サイゼリヤの気軽さで家飲みしたいときに毎回プロセッコを開けるのはハードルが高いですよね。
プロセッコの代わりになる選択肢は複数あります。
白ワインで代用した場合は、アルコール度数が全体的に下がるうえにコストも抑えられます。辛口の白ワインを選べば、プロセッコのようなキリッとした風味に近づけることができます。
炭酸水代用の「アペロールソーダ」はさらに簡単です。
【アペロールソーダの作り方】
アルコール度数は約3〜4%まで下がり、ビールより弱くなります。これは使えそうです。甘みがあるのでお酒が苦手な方にも好まれやすく、食事中にもダラダラ飲める軽さが魅力です。
なお、ノンアルコールを選びたい場合は「ノンアルコールスパークリングワイン」とアペロールを組み合わせる方法もあります。アペロール自体はアルコール11%ですが、ノンアルベースで割ることで全体のアルコール量を大幅に抑えられます。
たのしいお酒.jp|アペロールの飲み方ガイド・ソーダ・オレンジ・スプリッツのレシピを掲載
「スプリッツだけじゃ飽きてきた」という方のために、材料2〜3つで作れるアレンジレシピをまとめました。どれも難しいテクニックは不要で、グラスに注ぐだけで完成します。これは使えそうです。
| カクテル名 | 材料(主な割り材) | 味の特徴 | 度数目安 |
|---|---|---|---|
| アペロールオレンジ | オレンジジュース(1:3) | 甘口・フルーティ。お酒が弱い人向け | 約3% |
| アペロールジンジャー | ジンジャーエール(1:3) | ハーブ感と生姜の辛みが調和。爽快 | 約3% |
| アペロールモーニ | グレープフルーツジュース+トニック | ビターでさっぱり。大人向けの苦みあり | 約3〜4% |
| アペロールネグローニ | ジン+スイートベルモット | ショート系・甘口。本格バー風 | 約20〜25% |
特に「アペロールモーニ」はサイゼリヤのおつまみとの相性が抜群です。グレープフルーツジュース45mlとトニックウォーター適量を合わせるだけで、ほろ苦くさっぱりとした味わいに仕上がります。サイゼリヤのアランチャータ(オレンジジュース)の感覚で飲めるライトさがありながら、ちゃんとお酒の深みを感じる一杯です。
「アペロールネグローニ」は少し上級者向けですが、ジン30ml+アペロール30ml+スイートベルモット30mlをグラスで混ぜるだけで作れます。通常のネグローニはカンパリを使うので苦みが強いですが、アペロールに換えることで苦みが穏やかになり、甘口でフルーティな仕上がりになります。
また、ベネツィアモヒートという変わり種もあります。アペロール30mlにミントの葉15枚・ライム1/8個・シュガーシロップ1ティースプーン・クラッシュドアイス・炭酸水90mlを組み合わせます。グラスにライムとシロップを入れてペストル(マドラーの先端)で軽く潰し、ミントとアペロールと氷を加えて炭酸水で仕上げます。暑い季節には特に合う一杯です。
グリーンアラスカ(自宅カクテルログ)|アペロールを使った全10種のカクテルレシピを写真付きで掲載
サイゼリヤが好きな方なら、イタリアの食文化に親しみがある方が多いはずです。実は、アペロールを食前に飲む習慣「アペリティーヴォ(アペリティーボ)」は、サイゼリヤが提供しているまさにあのシーン、つまり「気軽にイタリアの食卓を楽しむ」という感覚と完全に一致しています。
アペリティーヴォとはイタリア語で「食前酒」を意味します。夕食の時間が日本より遅い(夜8〜9時ごろが普通)イタリアでは、仕事終わりの18〜19時頃にバールへ立ち寄り、仲間とアペロールスプリッツをひと杯飲みながら軽食をつまんで、食欲を高めてから夕食に向かうのが日常です。この時間帯を「アペリティーボタイム」と呼びます。
食前にビタースイートなお酒を飲むと、胃が刺激されて消化酵素の分泌が促され、食欲が自然に増進されます。これが食前酒(アペリティフ)の医学的な意義でもあります。苦み成分(ゲンチアナなどのビター由来)が消化器系を刺激するため、特にリキュール系のアペリティフは食前の一杯として理にかなっているというわけです。
家でアペリティーボを再現するなら、以下のペアリングが参考になります。
サイゼリヤのメニューで言えば、ガーリックシュリンプ(えびのオーブン焼き)、フォッカチャ、モッツァレラとトマトのカプレーゼあたりがアペロールスプリッツとの相性抜群です。これはまさにイタリアのバールで出てくるアペリティーボの定番おつまみと同じ構成です。
アペロールスプリッツのカクテルとしての仕上がりを良くするもう一つのコツは、グラスを事前に冷やしておくことです。冷蔵庫に10分ほど入れておくだけで、注いだ瞬間から炭酸が抜けにくく、最初の一口のキレが格段に良くなります。
サッポロビール公式ブログ|アペリティーヴォの食文化とアペロールスプリッツのおつまみペアリングについて解説