塩分5%で漬けると、仕上がりが堅くなり旨味が半減します。
サイゼリヤでイタリアン料理に目覚めた方なら、一度は「生ハム」メニューに手を伸ばしたことがあるのではないでしょうか。サイゼリヤでは現在、スペイン産のハモン・セラーノ(税込320円)が生ハムメニューとして提供されています。しかし、イタリア本場のリストランテでよく登場するのが「ブレザオラ」という、より希少な牛肉の生ハムです。
ブレザオラは北イタリア・ロンバルディア州のヴァルテッリーナ渓谷を発祥とする伝統食で、牛の赤身(もも肉など)を塩漬けにし、乾燥・熟成させて仕上げます。豚肉の生ハム(プロシュートやハモン・セラーノ)と最大の点が異なります。それは「脂肪分の少なさ」です。
牛赤身100gあたりのタンパク質は約24g、カロリーは約150kcal程度と、筋トレやダイエット中の人にも注目されています。サイゼリヤの生ハムが好きな方にとって、ブレザオラはまさに「豚肉ではなく牛肉の旨味を楽しめる上位互換」とも言える存在です。
ブレザオラの色は濃い赤色で、表面から香るスパイスのアロマと、牛肉ならではのコクある味わいが特徴。薄くスライスしてオリーブオイルをたらし、ルッコラとパルミジャーノを添える食べ方が本場イタリアで定番です。この食べ方は、サイゼリヤのサラダ感覚で手軽に楽しめる点も魅力的です。
ブレザオラが低脂肪・高タンパクな理由が原則です。豚肉と違い、牛の赤身部位を使うため、脂身がほとんど入らないからです。これは健康志向のサイゼリヤファンにとって、ぜひ知っておきたい情報と言えます。
参考:牛肉生ハム(ブレザオラ)の特徴と産地について
大同門オンラインショップ:ブレザオラとは何か?その特徴を詳しく解説
ブレザオラの完成度は、仕込み前の「下処理」で9割が決まります。これは重要です。プロのイタリア料理職人が口をそろえて言うことで、素材と器具の準備が不十分だと、どれだけ熟成時間をかけても思い通りの仕上がりにはなりません。
まず素材選びです。使用する部位は「牛のもも肉(赤身ブロック)」が基本で、できれば内もも(シンタマ周辺)か外もも(ランプ肉)を選ぶとよいでしょう。脂身が少なく、筋繊維が均一に走っている部位が理想です。市販の国産牛・輸入牛どちらでも作れますが、和牛を使う場合は脂のサシが多いため、熟成期間が通常より2ヶ月以上長くかかる点に注意が必要です。
| 素材 | 特徴 | 難易度 |
|---|---|---|
| 輸入牛もも赤身 | 脂が少なく乾燥が均一、コスパ◎ | ★☆☆ |
| 国産牛もも赤身 | 旨味が強く、風味豊か | ★★☆ |
| 和牛(サシ入り) | 濃厚な味わい、熟成期間が3ヶ月以上必要 | ★★★ |
下処理の手順は以下の通りです。
作業器具(包丁・まな板・ボウルなど)は使用前にアルコール消毒するか、熱湯消毒しておくのが衛生面の基本です。この工程を省略すると、熟成中に雑菌が繁殖するリスクが高まります。
プロの現場では、肉の表面を均一に整えることを「トリミング」と呼び、これがブレザオラの美しい断面を作る第一歩です。赤みが均一に広がった断面こそが、本場ヴァルテッリーナの職人が追い求める「理想の断面」と言われています。
参考:生肉を扱う際の衛生管理と食中毒リスクについて
東京都保健医療局:家庭で生肉を調理する際の食中毒リスクと注意点
塩漬けは、ブレザオラ作りの中核をなす工程です。ここで使う塩の量を間違えると、仕上がりが台無しになります。
プロが採用する塩分比率は「肉重量の約3〜5%」ですが、家庭で再現する際には3%前後がベストです。塩分が高すぎると(5%以上)、表面が過度に締まって旨味の出る内部酵素の働きが阻害され、結果的に堅く塩辛い仕上がりになってしまいます。塩分3%が基本です。
さらに、砂糖を少量加えるのもプロのコツです。肉重量の約1〜2%の砂糖(グラニュー糖でOK)を混ぜることで、熟成中の保水性が上がり、しっとりとした口当たりになります。これはサイゼリヤの生ハムのような「ふんわりした食感」に近づけるためにも有効です。
塩漬けに使うスパイスは、プロの現場では8種類を組み合わせるのが一般的です。
これらをすりつぶしてミックスし、肉全体に丁寧に擦り込みます。ジュニパーベリーとシナモンは、特に北イタリア・ヴァルテッリーナの職人が重視するスパイスで、これが入ることで「本場の香り」が再現できます。
塩漬け期間は500g〜1kgの肉ブロックであれば5〜7日間が目安です。毎日一度、袋の向きを変えて塩分が均一に行き渡るようにします。出てきたドリップ(肉汁)は捨てずに肉全体に絡めると、うまみ成分を逃さずに済みます。これは使えそうです。
赤ワインに1日漬け込んでから塩漬けをする手法もプロの間で使われています。赤ワインのポリフェノールが酸化を抑え、タンニンが肉を引き締めながら旨味を加えるため、より複雑な風味を生み出せます。
参考:プロが使う塩漬け肉(サルーミ)の製法について
Great Italian Food Trade:ブレザオラの本場レシピと製法解説(日本語版)
塩漬けが完了したら、次は「乾燥と熟成」フェーズです。これがブレザオラの味を決定づける最重要工程です。
塩漬け後、まず表面の余分な塩とスパイスをキッチンペーパーで軽く拭き取ります。次に「塩抜き」を行います。塩分1%の薄い塩水(ボウルに水を入れて水量の1%の塩を溶かす)に30分ほど漬けると、塩気のムラが解消されます。この塩水を使った塩抜きのコツは見落としがちです。真水で塩抜きすると、急激に塩分が抜けすぎて表面と中心で差が生じるため、薄い塩水でゆっくり行うのがプロの手法です。
乾燥の工程は以下の順番で進めます。
熟成期間については、目的によって使い分けます。
| 熟成期間 | 仕上がりの特徴 | おすすめシーン |
|---|---|---|
| 18〜20日 | しっとり、さっぱりした旨味、ほんのり生感が残る | 初めて挑戦する方 |
| 1ヶ月 | 旨味が凝縮、香りが立つ、食感が引き締まる | サイゼリヤ感覚のご褒美前菜 |
| 2ヶ月以上 | プロ品質の複雑な風味、断面が美しい濃赤色 | ホームパーティーや贈り物 |
注意すべき点があります。プロの工房では温度4〜10℃、湿度70〜80%の熟成庫で管理しますが、家庭の冷蔵庫は湿度が低すぎることがあります。乾燥しすぎると表面がビーフジャーキーのように硬くなります。表面が乾燥しすぎたと感じたら、オリーブオイルを薄く塗ってガーゼで包み直すと、うまく水分を保ちながら熟成が進みます。
また、熟成中に「白い粉状のもの」が表面に現れることがありますが、これは塩の結晶か無害な白カビである場合がほとんどです。しかし緑・黒・ピンク色のカビや異臭は廃棄のサインです。これだけは例外です。安全を優先し、迷ったら食べないという判断が正しい選択です。
熟成が完了したブレザオラは、スライス技術と盛り付けで食べた瞬間の印象が大きく変わります。これは意外と知られていないポイントです。
スライスは「薄ければ薄いほど旨い」のが原則です。プロは生ハムスライサー(ハム専用のスライサー)を使って0.5〜1mm程度の極薄にカットしますが、家庭では切れ味の良い牛刀(薄刃包丁)と、肉を完全に冷やした状態でスライスすることで、1〜2mm程度まで薄くカットできます。肉は切る直前まで冷蔵庫で冷やしておくことが条件です。
盛り付けは本場イタリア式では、皿に薄切りを扇形に並べてオリーブオイルを回しかけ、レモン汁を少量加え、粗挽き黒コショウを振ります。そこにルッコラとパルミジャーノレッジャーノの削り節をのせれば完成です。この盛り付けだけで、まるでリストランテのような一皿になります。
サイゼリヤファン向けの自宅アレンジもいくつか紹介します。
食べる30分ほど前に冷蔵庫から取り出して室温に戻すと、香りが立ちやすくなります。これが条件です。冷えたまま食べると風味が十分に開かず、プロ品質の仕上がりが感じにくくなります。
ブレザオラを作る際に使う牛刀や保存容器を探す場合は、燕三条製の家庭用牛刀や、真空保存できるジップロック真空パックキット(家電量販店で3,000〜5,000円程度)が使いやすくておすすめです。真空保存すれば熟成中の乾燥を均一にコントロールでき、プロの熟成庫に近い環境を再現できます。
ここでは、検索上位の記事ではほとんど触れられていない、サイゼリヤファンにとって知っておくと得する情報をまとめます。
まず「塩抜き不要論」との違いについて。家庭向けレシピの中には「塩抜きは不要」と書かれているものも多いですが、実際には塩漬け後に塩抜きを行うかどうかで、最終的な塩分のムラが大きく変わります。塩分5%で漬け込んだ場合、塩抜きなしでそのまま乾燥させると、表面は塩分過多、中心は薄味という「塩のムラ問題」が生じます。つまり、塩抜きはプロが必ず行う工程です。
次に、輸入品のブレザオラが手に入りにくくなっている事情があります。2022年1月、農林水産省はイタリアからの豚肉等の一時輸入停止措置を実施しました(アフリカ豚熱の影響)。豚肉だけでなく、一部の牛肉加工品にも輸入規制の影響が波及し、サイゼリヤの生ハム(プロシュート)も2022年6月に販売終了となりました。ブレザオラも輸入ルートが限られ、市販品の入手難易度が高まっています。これがサイゼリヤファンが「自宅で作りたい」と思う背景の一つにもなっています。
また、栄養面の意外な盲点として「塩分の高さ」があります。ブレザオラは低カロリー・高タンパクで注目される一方、塩分は100gあたり4〜5g程度と比較的高めです。健康志向のサイゼリヤファンが「ヘルシーだからたくさん食べよう」と思いがちですが、食べすぎると塩分過多になります。1回の前菜として楽しむ量は30〜50g程度を目安にすると良いでしょう。
さらに、自家製ブレザオラのコスト面も見逃せません。輸入品のブレザオラは100gあたり1,500〜3,000円と高価ですが、自作の場合、輸入牛もも肉ブロック1kgが1,500〜2,500円程度で入手でき、材料費は市販品の約3分の1以下で同等以上のクオリティが実現できます。ここが大きなメリットです。時間コストはかかりますが、待っている間に価値が積み上がるのがブレザオラ作りの醍醐味とも言えます。
最後に、自家製ブレザオラに合うワインについても触れておきます。サイゼリヤでワインと一緒に楽しむ方も多いと思いますが、ブレザオラには軽め〜中程度のボディの赤ワイン(ヴァルテッリーナ産のネッビオーロ系や、フランス産ピノノワールなど)が本場流の合わせ方です。サイゼリヤでは税込100円のデカンタワイン(赤)でも十分に楽しめます。これは使えそうです。
参考:輸入食肉の規制と安全基準について
農林水産省:家畜の伝染性疾病に係る輸入規制情報(アフリカ豚熱ほか)

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