サイゼリヤで飲んでいるあのワインが、実はマルケ州産のブドウで作られています。
サイゼリヤが好きな人なら、ワインリストにある「ベルデッキオ」を一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。あのクリーンでみずみずしい白ワインに使われている「ヴェルディッキオ」というブドウ品種、実はイタリア中部・マルケ州が原産なのです。つまり、サイゼリヤを通じてマルケ州の味覚をすでに楽しんでいた、ということになります。これは意外な事実です。
マルケ州はイタリアを「長靴の形」に例えたときの、ちょうどふくらはぎの裏側あたりに位置する州です。東はアドリア海に面し、西にはアペニン山脈が連なる地形で、海の幸と山の幸の両方を一つの食卓で楽しめる、豊かな食文化を育んできました。白トリュフや豆の煮込み、鴨のラグーなど、素材の力を最大限に引き出す料理が特徴です。
赤坂の「aniko(アニコ)」は、そのマルケ州料理を日本で提供している2店舗のうちの1軒です。オーナーシェフの井関誠さんは、イタリアで10年間修業し、その半分をマルケ州の現地で過ごしました。マルケ州随一のミシュラン二ツ星レストランでメインシェフを務めた経歴を持つ実力派です。
店名の「aniko」はマルケ州の方言で「たくさんのものを少しずつ」という意味があります。たくさんの美味しいものを少しずつ楽しんでほしいという想いが込められており、料理の方針にも直結しています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 🏠 店名 | aniko(アニコ) |
| 📍 住所 | 東京都港区赤坂6-3-8 高松ビル地下1階 |
| 🚉 アクセス | 東京メトロ千代田線「赤坂駅」6番出口より徒歩1分 |
| 📞 電話 | 03-6230-9172 |
| 🕐 営業時間(平日) | 17:30〜24:00(Food L.O. 23:00) |
| 🕐 営業時間(土・祝) | 11:30〜15:00 / 17:30〜23:00(Food L.O. 22:00) |
| 🚫 定休日 | 日曜日 |
| 🏆 受賞歴 | ミシュランビブグルマン、ゴ・エ・ミヨ 掲載 |
マルケ料理が日本で食べられる場所は、現時点でわずか2店舗しかありません。その希少性は、サイゼリヤファンならぜひ押さえておきたいポイントです。
参考:赤坂「aniko」公式サイト(店舗情報・コース内容を確認できます)
aniko(アニコ)公式サイト|赤坂でイタリアのマルケ料理が味わえるお店
マルケ州を代表する郷土料理といえば「ヴィンチスグラッシ」です。見た目はラザニアに似ていますが、その中身は別物といっていいほどの複雑さを持っています。牛・豚・鶏の肉だけでなく、レバーやモミジ(鶏の足首)などの内臓類をマルケ州産の赤ワインで長時間煮込んだラグーソースを使い、それをパスタ生地と8層以上に重ねてオーブンで焼き上げるものです。2022年にはSTG(伝統的特産品保護)にも指定された、歴史ある料理となっています。
「aniko」のヴィンチスグラッシは、手が透けるほど薄く伸ばしたパスタ生地を使い、10層近くの重なりを炭火窯で焼き上げます。セモリナ粉の芳香が立ちのぼり、鶏レバー入りのミートソースの旨みが口の中で広がる一品です。アラカルトでの価格は2,100円前後。サイゼリヤのラザニアとは素材も製法もまったく異なります。これが基本です。
マルケ料理には他にも印象的な一品があります。
「aniko」では炭火窯を使用しているのも特徴です。炭火ならではの遠赤外線の熱が食材の芯まで火を通し、表面はしっかり、中はしっとりした仕上がりになります。この調理法が、マルケの食材の素朴な力強さを際立たせています。つまり炭火窯が味の核心です。
参考:マルケ州の郷土料理「ヴィンチスグラッシ」についての詳細な解説(STG指定の背景なども記載)
ヴィンチスグラッシ公式サイト|マルケ州イチ有名な代表的郷土料理の詳細
「aniko」は事前にコース内容を把握しておくと、訪問時の満足度がぐっと上がります。ディナーとランチで料金と内容が異なるので、整理しておきましょう。
| コース名 | 価格(税込) | 品数・特徴 |
|---|---|---|
| 🌿 マルケの丘(ランチ) | 4,000円 | 全7品・マルケ伝統料理ランチコース。ヴィンチスグラッシ必含。 |
| 🌿 エスターテ(ランチ) | 5,000円 | 全7品・旬の食材を取り入れたメインありコース。 |
| 🌄 マルケの丘(ディナー) | 5,500円 | 全8品・マルケ州伝統料理ディナーコース。 |
| 🌄 エスターテ(ディナー) | 6,500円 | 全8品・旬食材コース。仔羊の炭火焼が含まれることも。 |
| 🌊 アドリア海の風(ディナー) | 7,500円 | 全8品・魚介スペシャルコース。スカンピ海老のスパゲッティなど。 |
チャージ料はディナーのみ1名400円(税込)かかります。ランチにはチャージがありません。コスパを重視するならランチの利用がおすすめです。
アラカルトも充実しており、単品で注文することも可能です。人気の「オリーブの肉詰めフリット」は1,500〜2,000円程度、ヴィンチスグラッシは2,100円前後という価格帯。アラカルトで好みのものを組み合わせると1人7,000〜8,000円程度になることが多いようです。初回はコースの方がマルケ料理の全体像を把握しやすく、コスパも高いです。
ワインリストはマルケ州産を中心に70種類以上が揃えられています。実に8割がマルケ産ワインという徹底ぶりです。サイゼリヤで飲み慣れたヴェルディッキオ種の白ワインも、本場の生産者が手がけたものを試せるのは「aniko」ならではの体験といえます。ソムリエ資格を持つ井関シェフが料理に合わせたペアリングを提案してくれるので、ワイン選びに不安な方は気軽に相談してみてください。
参考:「aniko」公式コース案内ページ(最新メニューや価格はこちらで確認を)
aniko コース料理一覧|マルケの丘・エスターテ・アドリア海の風
ミシュランビブグルマンの掲載以降、「aniko」は予約が取りにくい状態が続いています。口コミには「何度トライしても予約が取れずにいた」「直前だとまず予約が取れない」という声が多く見られます。これは注意が必要です。
座席数はカウンター6席+テーブル14席の計20席ほど。一軒家レストランのような小さな規模で回転数も多くないため、人気が集中すると予約枠が一瞬で埋まる構造になっています。飲食店20席というのは、だいたいコンビニのイートインスペースと同程度の広さをイメージすると分かりやすいです。
予約を成功させるための3つのポイントを整理します。
なお、店内にはアンティーク家具が随所に配されており、「10年前からここにあるかのような存在感」と評されるほど落ち着いた雰囲気です。半個室もあるため、商談や記念日の利用にも向いています。地下に降りる小さな扉をくぐった瞬間から、赤坂の喧騒とは切り離された別の空間が広がります。これは行ってみないと分からない体験です。
一見すると、チェーンのファミリーレストランであるサイゼリヤと、ミシュラン掲載の高級イタリアン「aniko」は全く別の存在に見えます。しかし両者には、意外なほど深い共通点があります。それは「素材の力を最大限に引き出すイタリア料理の哲学」です。
サイゼリヤは創業以来、「美味しさの80〜90%は素材で決まる」という考えのもと、イタリアから食材を直接輸入し続けてきました。契約ワイナリーと協働してマルケ州のヴェルディッキオを使ったワインを造り、1,100円というボトル価格で提供しているのはその哲学の産物です。ワイナリーとの直接取引だからこそ実現できる価格帯です。
「aniko」のシェフ・井関さんも「マルケのよさは、海と山の幸に等しく恵まれていること」と語ります。豆の煮込みも、鴨のラグーも、魚介のスープも、すべて素材そのものの旨みを引き出すことに徹した料理です。派手なソースで覆うのではなく、素材が持つ本来の風味を尊重するスタイルはサイゼリヤと同じ方向を向いています。
サイゼリヤで「これ美味しい」と感じた感覚は、マルケ料理の本質に触れてきた感覚と言っても大げさではありません。マルケ料理との親和性が高いのが条件です。「aniko」を体験することで、サイゼリヤのワインや料理の背景にある文化が一段と深く理解できるようになります。いいことですね。
サイゼリヤのマルケ産ワイン「ベルデッキオ」については、ソムリエによる詳細な解説と料理のペアリング例が以下のnoteにまとめられています。
サイゼリヤのワインと料理のペアリング2|田邉公一 Wine director(マルケ産ヴェルディッキオの特徴とペアリングを詳解)
「aniko」でマルケ料理を体験した後、その世界をさらに広げる方法がいくつかあります。「知識が増えると、また違う楽しみ方ができる」という好循環を生み出せるのがマルケ料理の面白さです。
まず、サイゼリヤに戻ってみてください。今度はただ「ベルデッキオ」を飲むのではなく、「これはマルケ州のあの丘陵地帯で育てられたヴェルディッキオ種だ」というコンテキストを持った上で飲んでみると、味わいが変わって感じられるはずです。レモンや海を想わせる潮の香り、ジューシーな果実味と塩味は、アドリア海沿岸の気候風土が育てたものだと実感できます。
次に、マルケ州の白ワインをワインショップで探してみるのもおすすめです。ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ(Verdicchio dei Castelli di Jesi)という呼称のワインは、イタリアワインを扱うショップで比較的見つけやすく、価格帯も1,500〜3,000円程度から揃っています。魚の形をしたユニークなボトルに入ったものもあり、手土産にも喜ばれます。
また、マルケ料理のもう一軒の提供店として、静岡市の「ヴィンチスグラッシ(Vincisgrassi)」というお店も存在します。名古屋・大阪からもアクセスできる距離感で、東海・関西圏に住んでいる方はこちらも選択肢になります。日本国内でマルケ料理が食べられる2店舗のうちの1軒として、「aniko」と並ぶ存在です。
「aniko」は予約困難な店ではありますが、一度体験すると「なぜもっと早く来なかったのか」と感じる人が多い店です。サイゼリヤから始まったイタリア料理への親しみを、本場のマルケ料理という形で昇華させる機会として、ぜひ訪れてみてください。マルケ料理は、知るほど奥深い世界です。
参考:マルケ州のワインの特徴と産地情報が詳しくまとめられたページ(ヴェルディッキオの品種特性や代表的なDOCワインについて解説)

ムスケン (セルヴァグロッサ) / Muschen (Azienda Agricola Selvagrossa) / イタリア/マルケIGT/赤ワイン/ミディアムボディ / 750ml