サイゼリアのワインを普段飲んでいる人でも、オルネッライア 2021は1杯50mlで飲めるバーが日本に存在します。
オルネッライア 2021は、イタリア・トスカーナ州の海岸沿いに位置する「ボルゲリ地区」で生まれます。トスカーナといえばサンジョヴェーゼを主体としたキャンティが有名ですが、ボルゲリはまったく異なるアプローチをとります。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどのボルドー品種を使って造られる、いわゆる「スーパータスカン」の産地として世界に名を馳せている地区です。
オルネッライアはサッシカイア・ソライアとならぶ「3大ボルゲリ」の一角を担います。サッシカイアが元祖スーパータスカンとして知られる一方、オルネッライアは1981年にアンティノリ家の当主の弟、ロドヴィコ・アンティノリ氏によって設立されました。設立の経緯が面白く、もともとロドヴィコ氏はカリフォルニアでのワイン造りを検討していました。しかし、カリフォルニアワイン界の重鎮アンドレア・チェリチェフ氏に「ボルゲリはボルドー右岸と同等の土壌にカリフォルニアの気候を備えた稀有なテロワール」と指摘され、故郷ボルゲリに拠点を構えることを決意したのです。
ボルゲリの地は、ティレニア海からの温かい海風と、丘陵からの夜間の涼しい空気が交差する特異な微気候(ミクロクリマ)を持っています。夏は陽光をたっぷり浴びながら、海からの風がゆっくりとした熟成を促し、タンニンの丸みとフレッシュな酸をバランスよく引き出せる。つまりボルゲリが原則です。沖積土・火山性土・海底土が混じり合った独特の土壌も、ブドウに複雑な風味をもたらす大きな要因となっています。
2001年にワインスペクテーター誌「ザ・トップ100ワインズ」で世界第1位を獲得して以来、オルネッライアは文字通り「世界のオルネッライア」として不動の地位を確立。2005年からはフレスコバルディ家が率いるテヌータ・ディ・トスカーナグループの傘下となり、さらなる品質向上と世界展開を加速させました。
サイゼリアのワインを入口にしてイタリアワインの魅力に気づいた方にとって、オルネッライアはその先にある目標地点の一つです。イタリア赤ワインがどこまで深く豊かになれるかを体感できる一本です。
参考:ヴィンテージの特徴や品種構成について詳しく記載されています。
オルネッライア 2021は、ボルゲリの公式コメントで「典型的なヴィンテージ」と表現されています。これは地味に聞こえますが、実際には天候に非常に恵まれた、出来のよい年という意味です。
2021年の天候の流れをまとめると、次のようになります。
| 時期 | 天候の特徴 | ブドウへの影響 |
|---|---|---|
| 冬〜春 | 暖かく雨が多い | 土中に十分な水分を蓄積 |
| 5月末 | 降雨量が平年並み | 均一で理想的な開花 |
| 夏 | 高温・ほぼ降雨なし | 春の貯水が水源となりストレス回避 |
| 9月 | 乾燥・高温が持続 | 粒が小さく高濃縮のブドウが完成 |
乾燥した夏でも木が枯れなかったのは、冬から蓄えた深い土壌の水分があったから。結論はこれです。こうした条件が重なり、手作業での「アラカルト収穫」、つまり完熟した房だけを複数回に分けて選別的に摘み取るという丁寧な収穫が可能になりました。
品種構成もこのヴィンテージの個性を語る上で外せません。カベルネ・ソーヴィニヨン53%・メルロ25%・カベルネ・フラン15%・プティ・ヴェルド7%というブレンドで、アルコール度数は15度。ボルドーブレンドをベースとしながらも、イタリアの太陽と地中海のテロワールがしっかりと反映されています。
醸造面では、除梗前後の2回選果、ステンレス・タンクとコンクリート・タンクによる発酵(26〜30℃、約1週間)、その後15日間のマセレーション、新樽70%・使用済み樽30%での18ヶ月間の樽熟成、さらに瓶詰め後12ヶ月の追熟を経てリリースされます。これは製造期間だけで合計30ヶ月超。これは必須です。
こうした手間のかかるプロセスが、「しっかりとしたタンニン、同時に精緻でフィネスも感じる、力強い余韻がいつまでも続く」というテイスティングコメントの背景にあります。
オルネッライア 2021には、ワイン以外にも注目すべき側面があります。それが「ヴェンデミア・ダルティスタ(芸術家の収穫)」と呼ばれるプログラムです。2006年ヴィンテージから毎年、国際的に著名な現代芸術家を1名招き、そのヴィンテージの個性を一語で表現した限定アートラベルを制作してきました。
2021年のキーワードは「ラ・ジェネロジタ(寛大)」。これはフレスコバルディ社長ランベルト氏が選んだ言葉で、豊かで凝縮感のある2021年のワインの表情をそのまま表しています。
担当アーティストはイタリアの女性現代芸術家マリネッラ・セナトーレ。彼女はクリスチャン・ディオールのショー舞台装飾でルミナリエを用いたことでも知られ、光・コラージュ・言語を組み合わせた独自のスタイルを持つ作家です。2021年ヴィンテージのために、オルネッライアでワインを造る人々の誇りと職人気質に着目したコラージュ作品を制作。バロック様式のステンドグラス「薔薇窓」からインスピレーションを得た光の彫像は、ワインに熱ダメージを与えないよう最先端のコールドネオンを使い、環境への配慮から水銀不使用で仕上げられました。これは使えそうです。
注目すべきは、この限定ラベルつきのワインが世界的オークションハウス「サザビーズ」でも競売にかけられるという点です。ダブルマグナム(3L)100本、アンペリアル(6L)10本、サルマナザール(9L)1本という特別ボトルのオークション収益は全額、ソロモン・R・グッゲンハイム財団に寄贈されます。視覚に障害がある方が五感を駆使して芸術を体験する「マインズ・アイ」プログラムの支援に使われるのです。
一方、市販の750mlボトルについては、1ケース(6本)のうち1本がマリネッラ・セナトーレのアートラベル仕様になっています。つまり6本に1本の割合です。ワインとして楽しんだ後もボトルを芸術品として飾れる点は、ワインファンとしてうれしいところですね。
参考:サザビーズとのコラボオークションや芸術家の活動について詳しく解説されています。
italianity.jp|オルネッライア2021のヴェンデミア・ダルティスタ詳細
世界のワイン評価誌において、オルネッライア 2021はどのような評価を得ているのでしょうか。複数の主要評価誌のスコアをまとめると次のとおりです。
| 評価誌・機関 | 点数(100点満点) |
|---|---|
| ジェームス・サックリング | 99点 |
| ヴィノス | 99点 |
| ワイン・スペクテーター | 98点 |
| ワイン・エンスージアスト | 98点 |
| ワイン・アドヴォケイト(パーカーポイント) | 96点 |
| The Wine Independent | 100点 |
軒並み96〜99点台、そして一部評価誌では満点100点という、まさに別格の評価です。意外ですね。これだけ複数の評価機関が揃って高得点を出すケースは、ボルドーの1級シャトーやブルゴーニュの特級クラスを除くと極めて稀です。
「ボルドー5大シャトーに比肩するスコアを毎ヴィンテージ、コンスタントに叩き出す」と言われるオルネッライアですが、2021年はその中でも特に傑出したヴィンテージとして記録されています。サイゼリア等のカジュアルなイタリアワインと同じ「イタリアワイン」という括りに入っているとは思えないほどの世界的評価です。
気になる市場価格については、750ml1本で4万8千円〜5万円前後(税込)が相場となっています。ボルドー1級シャトーと比べれば入手しやすいとも言えますが、一般的なワインと比べると「特別な場面用」の予算感です。
ただし、手軽に体験するルートは存在します。エノテカ大阪店カフェ&バーのように、50mlのグラステイスティングとして提供するイベントを行う店舗があります。1杯単位でオルネッライア 2021の世界を体感できる機会を探してみるのが、最初の一歩として現実的です。
参考:各評価誌のスコアと市販価格が確認できます。
sake-people.com|オルネッライア 2021 商品詳細ページ
サイゼリアのテーブルワインはカジュアルに冷やして気軽に楽しむスタイルですが、オルネッライア 2021は少し異なるアプローチが必要です。飲み方を知ることが条件です。
まず温度について。推奨する飲み頃温度は16〜18℃とされています。これはちょうど「冷たすぎず、ぬるすぎず」の範囲で、冬場であれば室温でそのまま、夏場であれば冷蔵庫から30分ほど前に出して温度を上げると理想的です。
次に重要なのがデカンタージュ(デキャンティング)です。2021年はリリースから比較的若いヴィンテージのため、しっかりとしたタンニンが前面に出やすい状態です。デカンタに移してから30分〜1時間ほど空気に触れさせることで、閉じた香りが開き始め、タンニンも滑らかに変化します。デカンタがない場合は、グラスに注いでから少し待つだけでも違いを感じられます。
飲み頃については、現在飲んでも十分に楽しめる状態にありますが、長期熟成のポテンシャルも非常に高いとされます。2030年代に向けてさらに複雑なニュアンスが生まれてくると言われており、セラーで寝かせる楽しみ方も選択肢の一つです。
ペアリングについて、公式が推奨する料理は次のようなものです。
実はサイゼリアのメニューとの相性も悪くありません。たとえば「ビスマルク風ピッツァ」や「子羊のラグーパスタ」は肉の旨みがオルネッライアのタンニンと対話し、意外なほど調和します。サイゼリアで親しんできたイタリア料理の延長線上でオルネッライアを体験できるという点は、サイゼリアファンにとっての大きなメリットです。
また、独自の視点として注目したいのが「ハーフボトル(375ml)」の存在です。オルネッライア 2021はハーフボトル仕様も市販されており、価格は750mlの約半額程度です。「まず試してみたい」という方にとって、ハーフボトルから始めるのは出費リスクを抑えながら本物の味わいを体験できる賢い方法です。勝田商店など銘醸ワイン専門店で扱っています。
参考:ペアリング料理や基本スペック、推奨温度について詳しく記載されています。
ワイン王国|オルネッライア 2021 新ヴィンテージレポート