赤ワインは常温で飲まないと損をする、とあなたは思っていませんか? 実はランブルスコは冷蔵庫で2〜5℃に冷やすほど、本来の果実味と泡のキレが際立ちます。
カンティーナ チェーチの物語は、1938年にイタリア北部パルマのバッサ パルメンセという小さな町から始まります。創業者のオテッロ・チェーチ氏は、地元で愛されるトラットリア(食堂)を営んでいました。ある日、地元農家から購入したブドウで自らランブルスコを醸造することを決意し、ワイナリーとしての歩みがスタートしたのです。
その後、息子のブルーノ氏とジョバンニ氏が1960年代に事業を大きく拡大。現在は孫と曾孫も経営に参画する、文字通り「4世代のファミリーワイナリー」として世界規模の生産者に成長しました。
チェーチが世界的評価を受けるきっかけになったのは、革新的なボトルデザインです。フラッグシップワイン「オテッロ ネロ ディ ランブルスコ」には、珍しい四角いボトルを採用。見た目のインパクトだけでなく、中身のクオリティも業界最高水準を誇ります。イタリアワイン評価誌『ドゥエミラ ヴィーニ』では、同ワインが9年連続で最高賞である5グラッポリを受賞した「初めてのランブルスコ」という記録を打ち立てています。これは東京ドームのグラウンド面積ほどの広大な土地を耕してきた農家が、ようやく世界頂点を極めたような快挙です。
2012年と2015年には、イタリアワイン界最高の栄誉「オスカー デル ヴィーノ」も受賞。業界紙から「チェーチはイタリアにおけるランブルスコの歴史を塗り替える革新的なワイナリーである」と評されました。つまり品質と革新、この2本柱が原点です。
サイゼリアでランブルスコを飲んでいる方にとって、同じ「ランブルスコ」の名を持つチェーチがどれほどの実力者かを知ることは、ワインの楽しさをさらに広げるきっかけになります。
参考:カンティーナ チェーチ輸出マネージャーへの突撃インタビュー(tuscany.co.jp)|創業の歴史・マエストリ種の特徴・受賞歴の詳細はこちら
ランブルスコといえば、エミリア・ロマーニャ州産の赤いスパークリングワインをイメージする方が多いはずです。よく知られた品種にはグラスパロッサ種、ソルバーラ種、サラミーノ種などがありますが、チェーチが使用するのは「マエストリ種」という全く異なるブドウです。
マエストリ種が特別なのは、その栽培エリアの狭さにあります。パルマとレッジョエミリアという限定された2つの県のみで栽培が許可されている、非常に希少な品種なのです。エミリア・ロマーニャ州全体でランブルスコが広く作られるなかで、マエストリ種は「その中の一角」にしか育ちません。希少性が高いということですね。
さらにチェーチのブドウ畑は、平地が多いエミリア・ロマーニャ州のなかで例外的に標高最高300メートルの丘陵地帯に位置しています。この高さは、東京タワーの展望台(250m)よりも高い場所です。高地から吹き込むティレニア海の風がブドウにミネラル感を与え、収穫されたマエストリ種は「色調が最も濃く、果実味があり、ふくよかな味わい」を持つランブルスコ界随一のブドウに育ちます。
マエストリ種の香りの特徴として、赤いベリー、チェリー、ブルーベリー、スミレ、そしてセージなどのハーブが挙げられます。フルーティーでありながら深みがある、複雑な印象です。
また、ランブルスコ種は全体で100種を超える亜種があるとも言われており、品種の多様さだけで日本の日本酒の酒米品種より種類が多いことになります。意外ですね。その中でもマエストリ種は「色が最も濃い」という特徴を持ち、目で見ても個性のはっきり分かるブドウです。
サイゼリアのランブルスコとチェーチのランブルスコでは、使用品種が異なる場合もありますが、ランブルスコという括りを理解するうえでマエストリ種の知識は必ず役立ちます。
チェーチのランブルスコは大きく3つのラインに分かれており、それぞれ個性がまったく異なります。自分好みのボトルを選ぶには、この違いを知っておくことが条件です。
まず最上級ラインのオテッロ ネロ ディ ランブルスコ 1813は、創業者「オテッロ・チェーチ」の名と、ヴェルディの作品「オテッロ」に由来する四角いボトルが目印です。マエストリ種100%で造られ、スミレがかった濃紫色の外観が美しく、ベリーやチェリー、ライラック、ムスクが複雑に香ります。残糖値は30g/L(辛口の分類内での上限近く)で、ほのかな甘みが果実味と溶け合う高品質な辛口ランブルスコです。フォアグラや青カビチーズとの相性が抜群で、スパイシーなメキシコ料理やアジア料理にも合わせやすい懐の深さがあります。
次にブルーノ ランブルスコは、1960年代の伝統的製法を2回収穫・手摘みで復活させた上級ライン。オテッロと比較して「ガス圧が約2倍、残糖はわずか11g/L」と、より辛くてシュワシュワ感の強い構成になっています。ちょうどシャンパンのような発泡感を赤ワインで体験できるイメージで、ミネラル感と酸味が際立ちます。BBQや焼き鳥など、炭火料理との相性も良いとされています。これは使えそうです。
そして最もポップで有名なのがバーチョ(Bacio)です。「Bacio」はイタリア語で「キス」を意味し、元サッカー日本代表の中田英寿氏がイタリアのセリエA在籍中にチェーチのランブルスコに惚れ込み、自らラベルデザインをプロデュースして生まれたワインです。やや甘口でフルーティーな口当たりは、ワイン初心者にも非常に飲みやすく、日本の量販店でも手に入りやすい定番ボトルになっています。
| ライン | 甘辛区分 | 特徴 | おすすめシーン |
|---|---|---|---|
| オテッロ 1813 | 辛口 | 四角ボトル・濃厚果実味 | ディナー・チーズ・アジア料理 |
| ブルーノ | 極辛口 | 高ガス圧・ミネラル感強 | BBQ・焼き鳥・炭火料理 |
| バーチョ | やや甘口 | 中田英寿プロデュース | 初心者・食前酒・デイリー |
3ラインを知ることで、サイゼリアで飲む「ランブルスコ ロゼ」や「ランブルスコ セッコ」の位置づけも自然と見えてきます。大事なのは甘辛の表記を確認することです。
参考:バーチョ商品詳細ページ(tuscany.co.jp)|中田英寿プロデュースの背景・テイスティングノートはこちら
サイゼリアのメニューは、実はランブルスコとの相性が非常によく考えられています。ランブルスコの特徴は「タンニンがやさしく、微発泡で口の中をさっぱりと洗い流してくれる」点です。この性質のおかげで、重い料理にも軽い料理にも幅広く対応できます。フードフレンドリーなワインということですね。
辛口タイプのランブルスコ(セッコ)には、塩気や脂のある料理が特に合います。サイゼリアであればミラノ風ドリア(ホワイトソースと肉の旨みが泡で洗われてくっきりした味わいに)や、辛味チキン(スパイシーな刺激をランブルスコの酸が中和)、エスカルゴのオーブン焼き(バターとハーブの風味にミネラル感がマッチ)などが鉄板です。
やや甘口のランブルスコ(バーチョやロゼ系)は、デザートや前菜との相性が際立ちます。爽やかにんじんサラダとの組み合わせは甘みと酸が絡み合ってリフレッシュ効果抜群。ティラミスなどのデザートに合わせると、甘みが重なりすぎず軽やかな余韻が楽しめます。
ここで少し意外な事実を紹介します。ソムリエの田邉公一氏によれば、ランブルスコはチョコレートとの組み合わせは避けたほうがよいと指摘されています。甘みが重なってワインのキャラクターが潰れてしまうためです。サイゼリアでチョコレートケーキと合わせようとしていた方は注意すれば大丈夫です。
また、ランブルスコには生ハム・サラミ・パルミジャーノ・レッジャーノなどの加工肉やハード系チーズとの親和性も証明されています。サイゼリアにはサラミのピザや生ハムのピザがあるため、ランブルスコとの相性を試す絶好の機会と言えます。
参考:SPURオンライン|ソムリエ田邉公一氏によるサイゼリヤワインペアリング解説(spur.hpplus.jp)|避けるべき組み合わせも含む詳細はこちら
ランブルスコを最大限に楽しむために外せない知識が、適切な温度管理です。多くの赤ワイン愛好家が「赤ワインは常温で」と考えがちですが、ランブルスコに限ってはこのルールは通用しません。冷蔵庫で冷やして飲むのが基本です。
推奨温度は2〜5℃。これは家庭用冷蔵庫の標準設定温度とほぼ同じです。冷えることでランブルスコ特有のチャーミングな果実味が引き立ち、泡もきめ細かく感じられます。逆に常温(日本の夏場では25〜30℃)で飲むと、アルコールが前面に出てベタっとした印象になるため注意が必要です。赤ワインでも冷やすのが原則です。
グラスについては、ランブルスコはテーブルワイン的な性質を持つため、高価なクリスタルグラスより気軽なタンブラーグラスでも問題ないとされています。ソムリエもラフに楽しむスタイルを推奨しており、気負わず飲めるのがランブルスコの魅力のひとつです。
保存に関しては、開栓後はできるだけ早く飲み切ることが大切です。スパークリング系のワインは開けた瞬間から泡が抜け始めるため、翌日まで持ち越すと味が大きく落ちます。ワインストッパー(泡用の圧力式タイプ)を使えば翌日まで品質を維持できる場合もあります。開栓後はその日に飲み切るのが理想です。
サイゼリアでランブルスコを注文する際は、店内でグラスが少し冷たい状態で提供されるケースがほとんどです。グラスが室温で提供されていたら、氷水で軽くグラスを冷やしてから注ぐとさらに美味しく飲めます。
参考:モトックス公式サイト「ランブルスコの美味しい飲み方」(mottox.co.jp)|適温・グラス・保存方法の詳細はこちら